お話ですわー!

「と、言うことですのベルクおじさま♡」

「知りません!本当です!知らないんです!」

「あらあら?どうかなさいまして~?お・じ・さ・ま♡」

「無実です!本当に無実なんです!私はそのようなこと指示してません!」


 あらあら、ずいぶん焦ってますわねぇ……ワタクシは騙されませんことよ?あなたとて公爵家の一員、この程度のことは日常茶飯事、場合によってはその命を持って処分して差し上げますわ?


「正直に、言いなさい、死ぬかどうかの瀬戸際ですわよ?」

「本当に知りません!ララさんがそんな事になってるなんて知りません」

「でもあなた、あのララの持ってきたセーターをワタクシに売りましたわよね?第2王子は献上したのに」

「販売戦略の一環です!」

「あの特注バカ王子セーター大層評判がよろしいですわね、ワタクシも欲しいといった時なんて言ったかしら」

「そ、それは……北方毛糸製品の割当で公爵家を最優先にしすぎると北方組合が、それに他の貴族も……」

「別にいりませんわよあんなもの、今の状況をわかってますの?王子に素晴らしいセーターを献上して私には極上品を買わせた……ここまではいいですわ。それを作った平民が顧客の王子と仲良くなる。これもいいですわ、それがワタクシと友人達の婚約破棄を狙って動いてる、理解できて?あなたはもう絞首台に足をかけているのよ?」

「そ、それは……」

「あらあら……まだ説明が必要?それともあがいてるのかしら?公爵家のあなたお抱えの平民が公爵家本筋のワタクシに無断でこのような行動に出て顔に泥を塗る、その場合不問にされたワタクシに買わせて王子には献上品と差をつけた問題、あなたの判断で毛糸製品の割当を減らした問題、堂々と王子とあのような行動に出たこと。北方組合がワタクシに痛手を負わせようと動き宰相派の復権をさせるために手を貸した。これ以外の考えがあるので?最近宰相派の家と取引をしているのでしょう?」

「そ、それは!寝返りを促すための!」

「頼んだ覚えはありませんわね、そもそも宰相派が今どのような状況か理解してないのかしら?お答えいただきたいわ、お・じ・さ・ま♪」

「右肩下がりです……」

「そうですわね、第2王子教育係が2つの職を辞して宰相派閥は勝手に敵が増え此度のことで王家から詰められるでしょうね……で?ルーデンドルフ侯爵の辞任はわからなかったのかしら?」

「噂程度で……」

「じゃあ勝手に転がる相手になんで手を出したのかしら?」

「北方組合の決議で……」

「へぇ、ふーん……」


 本当に知らないのかしら、だとするともうダメですわね。


「本当に私は命じておりません!ララさんとは商売関係で……王子に献上品を出してセーターの評判を上げるために!」

「そのセーター、ワタクシでもよかったのでは?」

「あ、あれでも王都では見る目だけはあると!」

「売り先は北方でしょう?王都で優先的に売ってどうするんですの?去年は割当を減らしたのに?」

「未来を見据えて……」

「去年は絶対数が減ったのに?」

「それは量産体制の提案を受けていて……」

「うそですわね、具体的な動きはないではありませんの」

「本当です!意匠の部分だけ任せるなら量産が可能だと!」

「覚えが悪いと言うか足掻くと言うか……具体的になにか出来ましたの?それを聞いておりますの」

「い、いえ……何も」


 終わりですわね、北方組合は恩で残してあげようかと思いましたけどアーデルハイドが死んだ時も動きが鈍くて使えませんでしたわね。ツテも広くないからクラウを派遣して絵の買付を頼む羽目になりましたし。アレがなければクラウを一緒に向かわせてアーデルの身を守れたかもしれませんわね。


「話は終わりですわ、今処分するとワタクシがララさんのことを知らないで行われたと有象無象に思われます、身内は事実を知るべきですが……今回静観したことによりちょっと洗えば北方組合ではベラベラと周りに吐くでしょう?当日中は情報が入らなかったとはいえシャーリーが知ってたくらいですわー!短い余生ゆっくりとお過ごし下さいませ。お・じ・さ・ま♡」

「お許しを!本当に知らなかったのです!関係ないのです!」

「私は一発目は打たせてやるのが決まりですわー♪でも実は4発も入れられたなんて……不快ですわよ」


 扇子をパシンと閉じるとカーテンの影から出てきたクラウとアンが愚物を取り押さえ運んでいった。さすがですわー。まぁ能力が足りないとはいえ見事に踊らされた哀れな大叔父には同情はしますわー。


 さて、じゃあ踊らせてた北方組合の処分の時間ね。

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