高条くんの事情(仮)
春戯時:-)
第1話 すれ違いの始まり
これは作者がハッピーエンド好き
『これ以上、はなさないで。』
『ごめん待って』から始まった言葉。意味を理解してしまった瞬間、その言葉は私の心を深く
『
自分の名前を呼ばれるが、そんな事は
黒眼をした時代外れかもしれないが黒髪を一つの三つ編みに纏めた至って平凡すぎる日本人、それが私。
今日という祝うべき中学校の卒業式にて、小学校高学年から片思いをしていた
……失輝に恋をしたのは小学校五年生の運動会からだったと思う。周りの子は親と一緒にいるのに対して、私は親が既に他界しているため一人ぼっちだった。蔑み、憐れみ、同情、そんなものが欲しくて学校に来ているわけではなかったのに。面倒を見てくれている皆は忙しくて来れなかった。とにかく自分が惨めで仕方がなくて、本当はこんな行事に参加なんてしたくなかった。行けないからと朝に結んでくれた三つ編みに勇気がもらえたと思ったのに、今ではその事実でさえ自分が惨めに思える要素になっていた。保護者参加の二人三脚、相手がいない私は先生と走ることになっていた。自分に順番が回ってきた時、私の手を引っ張ったのは失輝だった。
『先生が
両親がいないことを平然と言ってのける彼は、眩しかった。名前にある通り失望の中にある
時が経つにつれて、気持ちは大きくなりどんどん抑えきれなくなっていった。強欲であれ、と言われ育った結末がこれだ。なんて惨めで馬鹿なんだろうか。
『はぁはぁ……。』
私は走って息切れを起こした、これぞ運動を日頃からしていなかった
家に着く頃には私の顔はきっとぐちゃぐちゃの凄い顔になっているであろうが、そんなこと気にしている暇なんてない。
『おかえりなs……ってお嬢?!』
聞き慣れたファミリーの声にまた涙腺が決壊する。
『……すぎな人に、ふられたぁぁ!!』
そして私は三日三晩、熱を出して寝込んだのであった。
その後、失輝とは高校が同じであったが関わりはなく、昂は成人して数年の時が過ぎた。その間、昂なりに
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