伯爵家を追放されたら聖女様に救われました。でも聖女様、なぜ僕のベットの上で枕に顔を埋めてるんですか?

リアム

前日譚

第1話成人の儀 そして絶望

 緊張しながら僕、ラムズランサーは馬車の中で揺られている。


 これから行く首都パーリの教会で成人の儀を受けるためだ。

 対面には父バルガンが貧乏揺すりしながら神妙な面持ちで僕を見つめていた。


 チラリとそちらを見てみるとバルガンは呆れたような顔して溜息を吐いた。


 しばらくすると馬車止まり、執事のセバスが入ってくる。


 いかにも機嫌が悪く、僕の方を見て見下すような視線を向けてくる。


「旦那様、教会に到着いたしました」


「開けろ」


 外に出ると目の前には神秘的な雰囲気のある教会が佇んでいた。

 中から物音と話し声が聞こえてくる。


 緊張しながらもセバスに促されるように中に入ると多くの貴族の息子娘たちが願うように座っており、奥の方では一人の少年が成人の儀を受けていた。


 小一時間、隅の席で座って待っていると「ラムズ ランサー殿!」と中央の司祭から呼ばれる。


 少したじろいているとバルガンから「さっさと行け‼︎」と怒鳴られてしまった。


 周りのご令嬢、子息の方々が僕の方を見ては笑い出す。


「見てあれ、」


「ああ、ラムズランサーだ。

 魔法も使えないくせに何しにきたんだか、」


「はは、腰抜けがやってきたぞ」


 僕はあまり気にしても仕方ないと思い無視しながら司祭の前まで行く。


「それでは成人の儀を始めます」


 司祭の合図とともに目の前にあった普通の体重計のような機械が動き出したので僕はその上に乗り出す。


 この世界では精霊が無数に存在しており、その精霊達の数によって将来が決まると言っても過言ではない。


 精霊達は才あるものにくっつき、その精霊に沿った恩恵をもたらす。


 しかし、聖女以外の人々には精霊は見ることはできない。


 だが、成人の儀ではその機械によって精霊だけの重さを測ることができ、そうして精霊の数を知ることがこの成人の儀である。


 しばらく乗っていると結果が出たのか司祭に降りるよう促される。


 少し司祭を見ると結果を見て驚愕の表情を浮かべ始めていた。


 少しふわんになりながらも司祭を見ていると司祭から「ゼロだと、、」という言葉が漏れた。


「ラムズ ランサー殿はゼロであります!」


 一瞬教会内が鎮まり返り、驚愕した声が聞こえてはじめた。


 そんな中、僕は絶望してその場に崩れ落ちてしまう。

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