第3話 米原💀

 伊賀は富山から電車に乗り、米原へと向かった。静かな田園風景が窓の外に広がり、彼は心地よい気分で旅を楽しんでいた。

 

 交通都市として知られ、古くから中山道と北陸道の分岐点として発達した。市の中心部である米原が北国街道の米原宿に当たり、市域南部を東西に通過する中山道には番場宿、醒井宿、柏原宿の3か所の宿場町が置かれていた。また、現在でも国道8号と国道21号が分岐し、米原JCTでは名神高速道路と北陸自動車道が分岐するなど交通の結節点としての役割を果たしている。


 滋賀県内で唯一、東海道新幹線の駅が設置されている。そのため関西圏・中京圏ともにアクセスが良く、新幹線では米原駅から京都駅まで19分、新大阪駅まで35分、一方名古屋駅までは27分で到着する。また、東海道本線(東海道線・琵琶湖線)でも名古屋方面と大阪方面へそれぞれ直通があるほか、米原駅は北陸本線の終点でもある。


 自然資源も豊富であり、日本百名山に数えられる高山植物の宝庫・伊吹山、ゲンジボタルの群生地として有名な天野川中流域と三島池、滋賀県・岐阜県にのみ生息する魚ハリヨや希少植物バイカモ(梅花藻)といった貴重な生物が見られる地蔵川などがある。市内の甲津原にグランスノー奥伊吹というスキー場がある。

 

 米原に着いた伊賀は、まずは歴史的な建造物を訪れることに決めた。古い寺院や城跡を巡りながら、その地域の歴史や文化に触れることができた。特に、城跡からの眺めは壮観であり、伊賀はその景色に息をのむほどだった。

 

 特に醒井木彫さめかいもくちょう美術館は良かった。中山道の旧宿場・醒井を流れる地蔵川に面して建つ。彫刻家森大造の作品を常設展示する個人美術館として、2002年10月に開館した。


 次に、伊賀は自然豊かな場所を散策することにした。米原の森や公園を歩きながら、季節の移り変わりや野生の植物、鳥のさえずりを楽しんだ。特に、清流を流れる小川のそばでは、水音や風のざわめきが心地よく、伊賀はリラックスした時間を過ごした。


 散策の途中、伊賀は地元の人々とも触れ合う機会を持った。地元の食堂で美味しい郷土料理を味わったり、地元の人々との会話を楽しんだりした。彼らの温かい歓迎と親しみやすさに触れ、伊賀は米原の魅力にさらに惹かれていった。


 散策の終わりに、伊賀は米原の観光案内所で地図やパンフレットを手に入れ、また訪れたい場所や体験をメモした。米原での散策は、彼に新たな気づきや発見をもたらし、心に豊かな思い出を残すこととなった。


 伊賀は富山での仕事を終え、しばらくの間、仲間たちとリラックスするために米原にあるバーに集まっていた。酒に酔いしれながら、彼らは過去のエピソードについて語り合っていた。


 伊賀の仲間の一人である悪党のリーダー、大和が話を振った。


「昔、金閣寺を爆破した男がいたな。あいつ、整理屋に狂わされてたとか聞いたことあるか?」


 伊賀は興味を持ち、大和に向かって問いかけた。


「整理屋に?どういうことだ?」


 大和は深い溜息をつきながら、過去の出来事を語り始めた。


「あいつは元々は普通の人間だった。しかし、整理屋に頼んで人生を狂わされてしまった。借金や家族の問題、仕事のストレス…全てを整理屋が利用して、あいつを操ってたんだ」


 伊賀は驚きと怒りを隠せない表情を浮かべた。


「なんて卑劣な奴だ。それで金閣寺を爆破したのか?」


 大和はうなずきながら続けた。


「そうだ。あいつは整理屋のせいで自分の人生が台無しになったと思ってた。金閣寺を爆破して、自分の怒りを晴らそうとしたんだろう」


 伊賀は沈黙に包まれたバーの中で、整理屋の存在について考え込んでいた。自分もまた整理屋の手によって人生を狂わされた過去を持つことから、その怒りと復讐心に共感する部分があった。


「次に整理屋と会ったら、決着をつけてやる」


 伊賀は心に決め、仲間たちも黙って彼を見つめていた。

 

 伊賀は友人の蟹江Dr.の自宅に遊びに行った。

「粉飾決算を起こした社長をゾンビにしてほしいって依頼があった」と、蟹江。

 社長の名前は山崎悠輔、38歳だ。


蟹江:伊賀、山崎悠輔を始末する準備は整ったか?


伊賀:はい、蟹江さん。準備は万端です。山崎がホテルから出るタイミングを把握しています。


蟹江:完璧だ。計画通りに進むように、行動は速やかに実行する。山崎は許せない男だ。彼のせいで多くの人々が傷ついた。


伊賀:分かりました。でも、山崎の死に関しては、問題ないですか?


蟹江:問題ない。我々はすでに対策を講じている。後片付けもバッチリだ。


伊賀:了解しました。では、行動開始の合図を待ちます。


蟹江:それでは、始めよう。山崎悠輔、お前の最後の時が来た。


蟹江:伊賀、用意はいいか?


伊賀:はい、蟹江さん。ホテルの正面に着きました。山崎の出入り口は確認済みです。


蟹江:良かった。俺たちは彼を許さない。彼の非道な行為を許すわけにはいかない。


伊賀:わかっています。山崎がホテルを出る合図を待っています。


蟹江:あの男を許すわけにはいかない。私たちは正義を貫くんだ。


伊賀:了解しました。山崎悠輔、お前の最期が近い。


蟹江:さあ、行動開始だ。


 暗闇の中、山崎は寝台の上で眠りについていた。突然、部屋のドアが無音で開き、闇の中から影が忍び寄る。影が山崎に近づくにつれて、手には静かに輝く刃が握られているのが見えた。


 山崎は眠りから目を覚ますが、すでに手遅れだった。影は冷徹なまなざしで刃を振り下ろし、一瞬にして暗殺を遂行した。血のしずくが部屋の暗闇に散らばり、暗殺者は静かに部屋を後にした。


「粉飾だけに糞食、フンゴロガシにしてはどうですか?」

「面白いアイデアだな。それで、どうやって実行する?」

 蟹江Dr.はニヤリと笑いながら、自宅の地下室に案内した。地下室には彼が研究しているゾンビ化の実験室があり、様々な化学物質や装置が並んでいた。


「ここでフンゴロガシゾンビを作り上げるんだ。君も手伝ってくれると助かるぞ」と蟹江Dr.が言うと、伊賀は協力することに同意した。


 二人は熱心に作業を進め、特殊な化学物質を使って社長をゾンビ化させ、さらにフンゴロガシの特徴を加えた。完成したフンゴロガシゾンビは凄まじい姿をしており、蟹江Dr.と伊賀は満足そうに笑みを浮かべた。


 しかし、その時、地下室の扉が突然開き、冬瓜組の組長とその手下が襲いかかってきた。組長は怒りに満ちた表情で叫びながら、二人に近づいてきた。


「なんじゃ、このゾンビの化け物は!誰がこんなものを作った!」


 蟹江Dr.と伊賀は組長の襲撃に備えて態勢を整えるが、組長とその手下たちの攻撃は容赦なく続いた。

 命からがら伊賀と蟹江は逃げた。



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