四日目(しつこい?)
「はぁ・・・」
ため息が漏れた。
重い足取りでアパートの部屋に入った。
くそ上司のおかげで終電まで残業した。
飲み屋に行く気力さえ無い。
今日はこのまま寝るか?
その時。
腹の虫が鳴った。
冷蔵庫を開ける。
おっとぉ・・・。
二つのどんぶりに分けたカレーの残りと御飯があった。
「よしっ・・・」
俺は気力を絞り出して着替えと風呂の用意をする。
「ふぅー・・・」
湯船に浸かったせいで何だか元気が出た。
Tシャツとパジャマの下をはいた後。
キッチンに立つ。
フライパンを出して、と。
カレーと御飯をレンチンして。
バターを引いたフライパンに御飯を落とす。
パチパチと音をさせながらシャモジで軽くあぶる。
そして。
カレーを上から。
ジュワー、と。
心地良い音が部屋に響くと同時に。
スパーシーな香りが。
俺の喉を上下させる。
ベッド前のローテーブルには。
当然の如く缶ビールとコップが用意してある。
それと。
鍋敷き。
熱々のフライパンごと食べるには必然だ。
だが。
まだだ。
料理(と、言えるだろうか?)のトドメに。
そう、オヤジ直伝の必殺技だ。
そっとシャモジで真ん中に穴を開ける。
そこへ、パカンと。
卵を入れるのだ。
そのまま。
蓋をして。
一分間。
我慢をした。
もう、俺の喉は限界で。
ビール、ビールと心が叫んでいた。
一分。
過ぎた。
テーブルへ。
ゴッー・・・!
パキン!
世界一好きな缶ビールを開ける音。
まずは。
ギョクギョク・・・。
ぷはぁー!
クゥー・・・。
死んでもいいっ!
そしてぇ・・・。
レンゲをフライパンに差し込む。
直に食べる時はスプーンではなくレンゲだ。
独身男のこだわり。(笑)
はふはふ。
あひぃ・・・。
チョッと。
エロい?(笑)
オコゲに似た御飯の感触と。
カレーのスパイシーな味が口中に広がる。
そして。
ビール。
ギョクギョク・・・。
ぷはぁー!
クゥー・・・。
殺してぇ!
はふはふ。
あひぃ・・・。
卵のアクセントも抜群だ!
ギョクギョク・・・。
ぷはぁー!
はふはふ。
あひぃ・・・。
しつこい?(笑)
ギョクギョク・・・。
ぷはぁー!
クゥー・・・。
そして。
俺は。
昇天した。
「ふぅー・・・」
ベッドに身体を預け、満足な息を吐いた。
やっぱり。
カレーは美味い。
カレー、万歳!
明日も頑張るぞ。
・・・と。
俺は気力を取り戻したのだった。
の、だった。(笑)
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