第28話 異常迷宮 2
試作
僕達一行は街道を早歩きで進んでいる。
『それで?どこまで話すんだ?合わせてやるよ』
移動しながらウォーラ様が【念話】で話しかけてくる。
『質問をもらおうかと思ってます。気になってる部分を中心に答えてあげようかなと。ただウォーラ様が女神であることや魔神の存在などは腰を据えて話す予定です』
『まどろっこしいがそれがいいだろうな。魔神の件は衝撃が強ぇだろうし、調査に支障きたしてもいけねぇし』
『はい、そんな感じでよろしくお願いしますよ、女神様』
『次、おちょくってきたらぶっ飛ばすからな?』
少し調子に乗ってしまったようだ。気を付けよう。
「ルー、ラトリ。移動しながらで申し訳ないけど君たちが聞きたいことに答えるよ。何から知りたい?」
「そうね。じゃあ、まずログさんって何者?」
まあ、一番はそこだよね。なんで
「僕はね。実は神様達に協力して
「え..神様?じゃあログさんは神官様ってこと?」
「違う違う。僕は神官じゃないよ。たまたま神様と知り合ってそれから手伝うようになっただけ」
やっぱり神様との繋がりでイメージされるのは神官なんだな。普通の人族と関わりがあるのはテチノロギス様とナレージュ様くらいだ。
「あのコテージとかのアイテムも神様から?」
「技の神様は知ってる?
「技の神様..私達人族に技術を授けてくれてるすごい神」
「そうそう。いい神様だよね」
「いい神様ってそんな気軽に..あ、ウォーラさんとログさんの本当の関係は?」
「私は師匠だ」
「僕は弟子だ」
ここは即答。事実だからね。
「あ、それは本当なんだね。あとあと、私達のことは出会う前から知ってたの?私達の
「君たちのことは知らなかった。ただ、二人の
「そ、そうなんだ。これって何なの?」
「私も知りたい」
ルーとラトリがやはり気になるようで質問を続けてくる。でもこれは僕の口からじゃなく、クレディオス様が直接話したいんじゃないかと直感で思った。この間、連れてくるようにーとか言ってたもんな。
「そうだな。それについては直接神様に説明してもらおうかな。僕のパーティメンバーになったんだし、紹介するつもりだったんだ」
「「え..」」
「くくく」
二人は恐れ多いといった感じの表情になる。ウォーラ様は何か想像でもしたのかニヤニヤしている。
「すごくいい神様だから大丈夫だよ。この問題が解決したらご褒美でも貰いがてら会いにいこうか」
「ちょっと心の準備が..」
「ん。胸を大きくしてもらう」
そんなこと出来るわけないだろうが。ん?クレディオス様なら出来るのか?いやいやこの話題に触れるのは危険だ。
街道の先、視界に目的地である山脈が見えてくる。
「もうすぐ着くね。一旦質問は終わりにしてもいい?」
「うん。一番気になってたことは聞けたから大丈夫」
「ん」
「まあ、これが終わったらそれ以外にも色々話せると思うから楽しみにしてて。さあ、山脈が見えてきたよ。少し急いで向かおう」
僕達は速度を上げて、山脈の麓を目指すことにした。
***
山脈の麓に到着すると、
「おい、中に取り残されたやつはいないか!?」
「わかんね!俺たちもやっとのことで出てこれたんだ!」
冒険者のパーティがそんな会話を交わしている。どうも中はまずいことになってるようだ。
「すいません!今中はどうなってるんですか!?」
いま脱出してきた様子のパーティの男性に話しかける。
「あ、ああ。急に
幻影の出現数は
「みんないくぞ!」
「おい!危険だぞ!」
僕達一行は申し訳ないが制止を無視し、そのまま
山型の
「こりゃ、やばいや」
僕は山頂に続く山道を見やる。山道いっぱいに
ーーーーーーーーーーーー
種族:幻影 蜥蜴種
階位:縺ォ
身体能力:
STR:D VIT:C AGI:D INT:E
神術:
技能:
アクティブ
パッシブ
火耐性
ーーーーーーーーーーーー
ん?階位の表記がバグってる?
「盛り上がってきたねぇ!!お前ら!蹴散らすぞ!」
「はい!!」
「ん!!!」
ちょっ!ウォーラ様!?僕がリーダーだよね?呼び止める間もなく、ウォーラ様は拳に神力を滾らせ、跳躍から勢いをつけて地面を拳で殴りつける。円状に神力の衝撃波が発生し、多数の
「す、すごい!私だって!」
ルーは自分の周囲に複数の【光槍】を出現させる。そのまま、
「【黒い束縛】【闇球】」
ラトリは【黒い束縛】で群れの下の地面から黒い靄を発生させて捕え、動けなくなったところに無数の【闇球】を連弾で炸裂させていく。え、えげつない。
ちょっと、僕のパーティの女性陣が強すぎる。これは僕だってぼーっとしてられない。せっかくだ。この機会で絶対モノにしてやるぜ。
僕は両手に剣を構え、神力を武器に流す。気持ち青白く光る2本のブロードソード。そう、僕はウォーラ様のように神力を纏わせて爆発的な一撃を叩き込む練習をずっと続けているのだ。
群れに向かって一歩踏み込み、加速。両手の剣で薙ぎ払っていく。横薙ぎを中心に複数の岩蜥蜴を同時に切り付ける。
体力は十分、歩みを止めず、前へ前へと
『
何匹の
僕専用のありがたーい『声』だ。個人的なメッセージ付き。嬉しくて涙が出そうだよ。
やっぱり
僕達は、蜥蜴無双を続けながら山道を進んでいくと視界に
「みんな、あそこセーフティエリア!ちゃんと機能してるみたいだ。一度息を整えよう!」
僕は、みんなにそう指示を出し、セーフティエリアに駆け込む。
「ふー。すごい数だな」
「さすがにちょっとギリギリだったよ。セーフティエリアがあってよかった」
「ふぅふぅふぅ」
体力の劣るラトリにはちょっときつかったな。セーフティエリアが生きててよかった。周りを見やるとエリアに入ってこようとするもセーフティエリアの結果に阻まれてもがく
「・・・」
「ウォーラさん?どうしました?」
ウォーラ様は無言で山頂付近を見上げていた。
「こいつらから神力とは違うなんか変な気配を感じてたんだけどよ」
「そうなんですか?確かにステータスの表記はおかしかったです」
「その濃い気配が山頂の方から漂ってんだよ」
やはり、山頂か。間違いなく何かあるな。
「わかりました。もうすぐ山頂です。気を引き締めていきましょう」
僕は再度気を引き締めて、山頂を目指すことにした。
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