雑音的思考

雑音的思考

「あと5分」

先生がそう言う。どこかガラスを隔てたようだ。手が動かない。自分の思考が自分を思考させてくれない。思い浮かぶのはいつもつまらないことだけだ。

ゲームをしたい。ガチャを回したい。今の石の数は......。いやいやテストに集中せねば。こことここをこう計算して......、そういえば今一番食べたいものはなんだろうか。今一番食べたいのは、そうだ寿司だそんなことを考えていたら腹が空いてきた今すぐにでも何か食べたい。カラムーチョが一番いいテストに集中しろ。

思考を一旦堰き止める。焦れば焦るほど氾濫してしまう。一旦落ち着こう。今は何分だ？今は11:26分だから、もうあと4分しかない。急がねばならない。

sinとcosはここで、角度が15°だから......。ちょっと待て、今後何分だったっけ。11:27分だ。集中しろ、集中。

計算ミスしてないかが気になる。一旦戻って検算してみるか。......よしあってるな。あれどこまで論証したのか、そうだ、ここまでだ。

そういえばこんなことが昔にもあった様な気がする。その時は間に合ったが今回は間に合うかどうか。後2分だ。秒で換算すると120秒しかない。行けるのか。たったの120秒だぞ。もうこうしている間に5秒たった。集中しろ。

あと1分、あとは文章を完成させるだけだ。急げ、かけたら点数がもらえるかもしれないが、書かなかったら何も得られないぞ。

終わった。あと何秒くらいだろう。あと10秒だ。9...8...7...6...5...4...3...。その時、一瞬にして計算ミスをしていることに気づく。ああ、もうだめだ。もう解答の直しようがない。この問題は何点だっただろうか。5点。5点くらいならくれてやる。

なかなかテストが終わらない。どうしてだろうか。

そうやってテストの時間割を見て、最も大きな過ちに気がついた。

テスト11:35までだわ。