第8話 魔法とは
「さて、それじゃあ始めようか」
今、私達がいるのはトランス王国領西の平原。魔物は出ても弱いものしかいなく、周りに何も無いので魔法やらの訓練にはぴったりな場所だ。
天気も良く、外に出るのは若干辛い。
「まずは魔法とかの説明からしたほうが良いかな?それとも、危ないけどいきなり魔法やっちゃう?」
「え説明からお願いします……」
まあ流石にね。
「それじゃあ、基礎を説明してくね」
そもそも魔法とは、から説明しようと思ったけど、別にこの知識無くても困らないや。というわけで、魔法の種類からいくことにした。
『魔法には七属性の基礎魔法、それ以外の、主に基礎魔法を組み合わせて造り出された発展魔法、そのどちらにも属さない無属性魔法がある。
魔法には適正という概念があるが、適正が無くても魔法が使えない訳では無い。無属性ならば、魔力の量があれば誰でも使う事が出来る。
それに、魔力が無くても魔石があれば魔法の発動は可能。魔石にはそれ自体に属性があり、組み合わせれば発展魔法を使うことも出来る』
「うん、こんなもん!じゃ、次は気をつけなきゃいけない事だね」
『魔法とは、魔力だけを消費するものでは無い。使用者の体力も消費して発動するものが殆どだ。故に、魔法を使いすぎると倒れることもある。但し、杖を用いれば負担を減らす事が出来る」
大体の説明を終え、まずはことちゃんの魔力の性質を見ることにした。
家から持ってきた魔力検査装置を取り出し、初期準備を済ませる。
装置の見た目は、手のひら位の透明な丸い水晶玉。
「よし、ことちゃん、これに手を置いてくれる?」
「これって、最初のやつとおんなじの?」
「ううん、違うよ。アレの強化版みたいなもんかな。大丈夫、危なく無いよ」
ことちゃんがそっと装置に手を乗せると、装置が濃い紫に光った。
あら、紫って事は結構魔力あったんだね。てことは、あの緑はやっぱり大臣のじじいの魔力だったか。
性質はという、七属性全てに適正あり。特に適正が高いのは、火と木と日。
これを見て考えると、ことちゃんは万能型だから満遍なく伸ばしたほうが良さそう。初心者だし、得意を伸ばす方針でいこうかな。
「よし。そんじゃ、魔法の使い方教えるからやってみよっか」
「う、うん」
「あはは、緊張してる?大丈夫、私もエデルもいるから安心安全!任せてよ。それで、魔法の使い方なんだけどね。まず、魔力を掴みます。ここが難しんだよね」
ことちゃんの手を取って、ことちゃんの魔力と私の魔力を合わせる。
「うわっ、何!?何これ!?なんかある!」
「それが魔力。落ち着いて、それの尻尾掴んでみるイメージ」
「尻尾って何処!?」
「わかんない。別に尻尾じゃなくても良いよ、掴めりゃ何でも」
はい深呼吸ー、と背中をさすり、ことちゃんを落ち着けて何とか魔力を掴めたっぽいので次のステップへ。
「そんじゃ、その掴んだ魔力を杖に押し込みます。できれば、石の所に寄り道させるイメージでね」
ことちゃんは必死に魔力を操作している。見ていて微笑ましい。
「うん、次はね、その杖の先端から火を出すイメージで魔力出してみて。最初から上手くいく人あんまいないから、気負わなくても大丈夫」
「わっ!」
「おー、出たね。凄い凄い」
「こっ、これ、どうやって消せば良いの!?」
「えーっとね、魔力止めれば消えるよ」
そう言ったものの、ことちゃん、パニックになっちゃって魔力の制御どころじゃ無いみたい。
うーん、不味いな。どんどん火が強くなってる。『火をイメージ』って言っちゃったし、性質的にはただの火と相違無いだろう。何かに燃え移る心配は少ないとはいえ、早めに消さないと。
「おーい、ことちゃん、大丈夫?」
「あ、えっと、へ、平気」
「良かった。ちょっと休もっか、お疲れ様」
最後は慌てちゃったけど、大分優秀な子だよ、ことちゃん。さて、そんな優秀な生徒ににおやつでも出してあげようかな。
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