その4 『大怪獣交響曲第5番』
わたしは、カイボーわん。
アーカイボーのエースであり、地球の守護者を自認している。
しかし、この『大怪獣交響曲第5番』さんには、手を焼いた。
みなさんは、『交響曲第5番』の恐ろしさを知っているだろうか?
それは、ベートーヴェンさんに由来する。
あの作品が地球に登場して以来、多くの交響曲作曲家は『交響曲第5番』の恐怖にとらわれてきた。
周囲も政府も、それに過剰な期待をしたりする。
もちろん、撃ち勝った人もある。しかも、傑作を打ち出してだ。
ブルックナーさん、マーラーさん、ドヴォルザークさん、チャイコフスキーさん、ショスタコーヴィチさんとか、シベリウスさんとか、さまざまある。
しかし、第4番まで書いて、その先を辞退した人も、かなりある。
シューマンさん、ブラームスさん、ゲルンスハイムさん。
さらに、交響曲作曲家には、『交響曲第9番』のジンクスがある。
これも、また、ベートーヴェンさんに始まるものである。
ブルックナーさん、マーラーさん、ドヴォルザークさんなどは、そうだ。
ブルックナーさんや、マーラーさんも、実はクリアしているのにもかかわらず、なぜだか、その罠に落ちている。
マーラーさんは、なんとかして、その罠から逃れようと、わざわざ『交響曲大地の歌』には、番号を付けなかったが、付けておけばクリアしたにもかかわらず、結局、第10番の途中まで書いて亡くなった。ブルックナーさんも、『交響曲第9番』が未完成で残された。しかし、本人が習作と考えた作品に『交響曲第0番』と呼ばれる作品がある。
そうした因縁や、困惑や、執念が固まってできたのが、『大怪獣交響曲第5番』なのだ。
それは、体長80メートル。体重は5万トンに達する。頭は、ほぼ、お口である。
その大きなお口からは、様々な『交響曲第5番』を吐き出すのだ。
しかも、いろんな曲や楽章が、まぜこぜになっている。
ベートーヴェンさんの名高い第1楽章は、もちろん、ショスタコーヴィチさんの第4楽章と、シベリウスさんの第3楽章(3楽章構成)、さらにプロコフィエフさんの第2楽章に、ブルックナーさんの第4楽章、マーラーさんの第1楽章が、超大音響でいっぺんに鳴ったりする。
しかも、様々に変化し、組み合わせが逐次変わる。
それは、まあ、まことに、恐るべきものである。
いかにして、この脅威から地球を守るのかあ❗
ぼくが取った作戦は、ウェルズさんの『宇宙戦争』による。
つまり、地球人類にはすでに免疫がある、強烈な咽頭炎を引き起こすウィルスに感染させたのである。
『大怪獣交響曲第5番』さんは、ついに、声を出せなくなり、『ダイ・ダラ・ボチ』に、回収されたのである。
彼らは、地球侵略を中止した。
👄🎶
第5話は、ありません。🙇
『地球会議防衛隊(アーカイボー)』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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