期せずして

 3月5日。今日も東野幸治似の歯医者がいる歯科医院に行った。気付けばもう1ヶ月近く通院している。


「今日こそ本歯を詰める!はず!」と、気が逸り、少し早めに着いてしまった私は、待合室でお知らせボードに貼られた紙をぼんやり眺めていた。


 その中の「日本歯科医師会ナンチャラ修了証」という証書のコピーに何気なく目を留め、驚愕。

 歯科医院の名前は医師の苗字を取って「◯◯クリニック」であることは知っていたが、問題はその名前。


「◯◯コウジ殿」


コウジ!

君、ほんまにコウジやったんか!(タイトル回収)


 私は期せずして、彼の名前を当てていたのだ。(漢字は違う)不可思議な符号の一致に少し嬉しくなる。機嫌良く診察台に上がった私に治療を施すコウジ。


やっと終わりだな、コウジ。

長かったが君の名前を知れて良かった。


 私は満面の笑みを浮かべ「お世話になりました」と礼を述べようと思った。しかしコウジは、新しいオモチャを自慢する子供のような無邪気な笑顔で、私に告げたのだった。


「今日は最新のレーザーを使って消毒しました!また次回来てくださいね!」


コウジ、うるせぇぇぇ!!(#・∀・)キー!!


つづく

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