思考力3万

 文字を読むのは好きだが、説明や冗長な話などは、耳目を上滑りしていく私である。「習うより慣れろ」という持論を持つ私は、取扱説明書などはほぼ未読で放置する。

 コウジに貰った抗生物質と痛み止めが4日分にしては少ないなと思って、よくよく袋を見たら「1回1錠」と書いてあった。


 なんと2錠ずつ飲んでいた。


 今のところ、特に危険な症状は出ていないはずだ。頭がおかしいのは元々なので、特に問題はない。


 しかし痛み止めがないのは困る。思考力3万(散漫)である。


 その程度ではフリーザ様に鼻で嗤われそうだが、何か書こう読もうと思っても、そこはかとない痛みに邪魔されてスーパーサイヤ鳥にはなれぬ。

 

 なったことはないが、可能性は捨てきれない。人間は可能性の生き物なのだ。(しかしそもそもサイヤ人でもない私がサイヤ鳥になれるのかどうかは甚だ疑問である)


 予約の日付はまだ先だが「服用間違えちゃったエヘヘ」と可愛子ぶって歯医者に駆け込もうと思った。

 だが、なかなか繋がらない電話にやきもきする。仕方がないので心を落ち着かせる呼吸法についてのエッセイを書いて焦燥を誤魔化していた。

 

 そして、今か今かと機会を伺っていた私の前に、あの女性が立ち塞がるのである。


つづく


(3月1日にご逝去された鳥山明先生の御冥福をお祈りいたします)

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