ナナの夏のセレクション

あかさたなはまやらわんっ!

第1話 プロローグ

 真夏まなつの夜は太陽たいようが沈んでいるとはいえ、とてもむし暑い。

 そう思えるほど、かなりつかれていました。


 多様性たようせいしすすめめられている今でも、女性はぜったいてきにに少ないのが現状げんじょうです。

 しかし、女子サッカープロリーグ、WEリーグが創設そうせつされました。

 そのおかげでしょうか、わずかながらでありますが、進み始めていると考えております。


 高校までは運良く女子チームでプレーすることができました。

 ただ、その上は実業団じつぎょうだんしか見当たりません。

 気の進まない中、体育大で教員免許きょういんめんきょ取得しゅとく

 やっとのことでプロのカテゴリーに入団。


 しかし、プロの女子サッカーチームにおいて、私はただの選手でした。

 二年間の選手生活せんしゅせいかつを終えると、実家じっかに帰り地元じもと臨時教員りんじきょういんの道へ。


 ふだんの授業のほか、部活で人生初のバレーボールをうけもちます。

 さらに職員室しょくいんしつに残って事務作業じむさぎょうもおこなうはめに。


 いわゆる教員きょういん長時間労働ちょうじかんろうどうというもの。

 この生活が三年目に入ると私は完全につかれ果ててしまいました。

 正規せいきの教員になる見通しもなし。ああ、このまますてられてしまうのか……。


 そこへサッカースクールコーチの仕事をしょうかいされます。

 悩み抜いたけっか、転職てんしょくを決めます。ひさしぶりに首都圏しゅとけんへもどりました。


 スクールで子供たちが楽しくボールを追いかけているすがたを見ると、私までいやされます。

 まるで保育園ほいくえん保育士ほいくしさんのような感じ。

 そんななか、目を見張るほど進歩する子の姿を見ると、おどろきをかくせません。


 「女子チームにもアカデミーを」とのチーム方針で女子アカデミーへの異動いどうとなりました。

 すると、女子プレーヤーのセレクションと話がすすんでいくことに。

 女子がサッカーをするのは、まだまだめずらしいですよね。

 それでも毎年セレクションで、多くの受験生じゅけんせい応募おうぼしていただけるのは、ありがたい話です。


 女子アカデミーには能力のうりょくの高い子がたくさんいます。

 ただひとつ気になるポジションがあり……。

 そのウィークポイントを埋めてくれそうな子を今回見つけることができたのです。


 首脳陣しゅのうじんとも意見が一致いっちし、その子をチェックし続けることになりました。

 これから、彼女がどう成長していくのかとても興味深きょうみぶかいです。

 

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