闇堕ち樹里亜さん~闇の深いシンママに潰されかかった話~

月狂 四郎

櫛田樹里亜さんとの出会い

 今からちょうど4年ほど前の事です。私はダブルワークをしないといけない状況にありました。というのもボランティア系の本業が金にならず、かつそう簡単に辞められるお仕事でもなかったためです。


 それで派遣社員としてコールセンター勤務を始めたのですが、のちに黒歴史となる出会いを果たします。それが同期であり同僚として出会った櫛田樹里亜くしだ じゅりあさん(仮名)でした。


 その名の通り、見た目や話し方はラノベの「よう実」ようこそ実力至上主義の教室へに出てくる櫛田桔梗くしだ ききょうと似ている方でした。


 見た目は芸能人というか、アイドルにでもなれそうな方でした。私としては一目惚れという事はなく「こんなかわいいコがいるなんて珍しいね」ぐらいにしか思っていませんでした。


 密かに脳内で「この2人はのちに夫婦となる事を知らないのであった」という都合の良いナレーションでも流してやろうかと思いましたが、それを牽制するかのように、本人からシングルマザーであるとの話が出ました。


 やはりそうか。世の中そんなに甘くない。


 大卒ぐらいの年齢で、子供の年齢を考えるとかなり若い頃に出産したようです。彼女は事情があって天涯孤独の身となっていました。


 出会った当初はさわりの部分しか聞いていませんでしたが、元旦那もロクな人間ではなかったようで、離婚後もストーカー被害に遭うなど、まるで昼ドラから抜け出てきたような女性でした。


 年齢はかなり離れていましたが、私の精神年齢が低すぎるせいかそれほどやりにくさも無く、行き帰りで会えば一緒に歩いていくという感じでした。


 彼女の容姿もあり、なかなか楽しい時間ではありましたが……嗚呼、それが、あのような恐怖と苦痛に満ちた日々に変わるとは……。


 この時の私はまだ何も知らなかったのです。

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