4、修道院の規則を作ろう!
カエサレアのバシレイオスとは、カッパドキア三教父と言われた偉大な教父のひとりであり、正教会では
(※正教会は用語がマジでかっこいいので調べるとワクワクします。)
さきほども言った通り、学問を究めるためにアテナイへ留学したことがあり、ほぼ同年代のローマ皇帝ユリアヌスと学友といってもいい存在でした。あとで読みたい中西恭子著『ユリアヌスの信仰世界』によれば、バシレイオスは友達であるナジアンゾスのグレゴリウスというやっぱり三成聖者である天才とともに、皇族であるユリアヌスが従者(取り巻き)を引き連れて授業に向かう姿をみたことがあるそうです。
彼らは仲良くなれたのかはわかっていません。
でも仲良くなっていたら私が嬉しい。(主張)
こうやって、教父たちはギリシア・ローマの古典を吸収、当時の哲学の最新の潮流を吸収しながら、キリスト教の思想の深化に務めました。
さて、そんなバシレイオスは学問を修めたあと、すぐに修道院の本拠地であるエジプトなどへと向かいました。そこで修道院を転々とし、修道生活がいかなるものか知ると、修道院の規則(「修道士大規定」)を作り始めます。本人もしばらくは修道生活をしていましたが、教会運営のほうへ引っ張り出されてしまいます(彼らにとって、修道院は聖職者たちが隠遁生活をしているだけですが、教会は平信徒たちと交流し、説教する場です。バシレイオスがどういう性格だったかわかりませんが、内向的な人だったら「修道院にもどせーーー」って泣いたかも)。
さて、ざっとですが本書に記されているバシレイオスの作った修道院規則(「修道士大規定」)についてご紹介します。
1:隠遁生活について。
これはみんなと一緒にくらしたほうがいいとバシレイオスは言っています。一人だと修行にならず、みんなで慰めあったりつらさを分かち合ったりすることで自分が修養されると考えたそうです。
キリスト教は「隣人愛」という考えが根幹にあり、他者との関係を重要視する側面があるので、他者がいたほうが教えを実践しやすいというのもありました。
2:修道士たちの心構え
修道士たちは基本的に「従順、服従」を是としていました。また俗世との関係を断ち、家族や友人とはバイバイします。
3:労働と祈り
これが修道士たちの基本的な生活になります。
働くことにより、やはり人間としての修養ができます。「隣人愛」の教えも実践しやすいのです。こうして、貧者や病人のために修道士たちはバリバリ働きました。
その間に祈りがバランスよく入ります。早朝、午前、正午、午後、夜、真夜中に祈ったそうです。真夜中に祈って早朝に祈るとか無理〜
でも過度に禁欲的にならないよう、調整はされていた模様。
4:どこに住もう……
これは定住することがバシレイオスのおすすめだそうです。でもたまには自分で稼いだお金を持って集団で市場に旅行に行っても良いみたい。市場に旅行、という表現から、街の中心にある市場からかなり遠い場所に修道院が建てられていたことがわかります。
5:節制
修道士は節制生活をおくらなくてはいけません。うん。わかる。
さらに、大声で笑ったり、腹を抱えて笑ったりしてはいけないそうです。全く笑ってはいけないとなると「隣人愛」の教えがニコリともしない人の集団によって粛々と実践されてしまう、「無愛想だけど優しい彼……♡」みたいな図が出来上がるので、少しは笑ってたかも。
というわけでバシレイオスはこうやって規則を定め、また自身が教会に引っ張り出されたのもきっかけに、教会と修道院を結びつける役目も果たしたそうです。
次回、最後!
大トリはあの人にお任せします。ずーっと顔をちょこちょこ覗かせているCV杉●智和(仮定)、つまりアウグスティヌスです。
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