後期古代ローマの本を読むよ〜!

こはる

修道院の成り立ち

1、修道院について

(※この章は別HNで書いている「しずかなインターネット」からの加筆です)


 今回はまず、杉崎泰一郎『修道院の歴史:聖アントニオスからイエズス会まで』(創元社)のなかから、後期古代ローマあたりの話を抽出して要約していきます。


 修道院。皆さんはどんな印象を抱くでしょうか。

 まず、修道院がどんな役割をしてきたか、その横顔を、本書を元にメモをしていきます。

 ヨーロッパにおいて、修道院は大きな役割を果たしてきました。


1、お酒! 酒造りじゃ〜〜!!!

 修道院にいる修道士は「酩酊しちゃダメ(飲み過ぎ禁)」とされるだけで飲酒自体は禁じられてませんでした。

 ワインがキリストの血に擬せられているので、礼拝(カトリックではミサ、正教では奉神礼)では、普通に飲酒をします。だから、飲酒自体を禁じてしまうとミサができなくなるのです。

 食事の際の飲酒もしていました。楽しみ程度に。

 確かに新約聖書をひもとくと、イエスと弟子たちが普通に楽しく飲み食いしているので、禁じることは難しかったのかもしれません。

 ……で、禁じられても世界を広げるのに、禁じられないと無限に世界を広げるのが人間のさがというもの。

 ある修道会ではビールの生産を行い、ある修道会ではリキュールを作っているそうです。・・・・・・今でも。

 シャンパンの「ドンペリ」というのは、ドン・ペリニョンという修道僧が生み出したとか。

 また、こういったお酒をお菓子や料理などに使用することもあります。修道院のレシピ本とかが日本でも出版されているので、よかったらググってみてください。可愛いです。

 食文化において、修道院は実は大きな影響力を持っていました。


2、中世は、写本製作じゃ〜〜〜!!!

 さて、中世。

 修道士は祈りの合間に写本制作を行なっていました。

 聖書だけではなく、古代の教父たち(キリスト教神学を確立した2〜5世紀の偉い神学者たち)の書物も写本していました。さらに、ギリシア・ローマ古典を継承するため、キケロなどの古典文学も写本していました。

 確かに、古代の教父たちの本をちょっと読んでいて思うのが、ギリシア・ローマ古典の理解が必須だということです。そりゃ全力で写本しますわ

 古代の教父たちは知的エリート層であり、ラテン語もギリシア語も自在に操ることができ、古典文学に造詣が深く、ギリシア・ローマの哲学者の系譜に連なる存在でもありました。

 教父の中でもナジアンゾスのグレゴリオスという人や、カエサリアのバシレイオスという人は、若かった頃、アテナイへ行き、哲学の勉強をしていました。

 そこでのちに古代ローマ皇帝となる哲学者志望の若い皇族、ユリアヌスと出会います。ナジアンゾスのグレゴリウスは、ローマ皇帝となり反キリスト教政策を進める元学友のユリアヌスに『ユリアヌス駁論ばくろん』を書いていたりするのでアツいんですよ〜(話が逸れた)。


 特に、そんな教父の中で「西洋思想の根幹」という名前を一部ではほしいままにしているアウグスティヌスという人が書いた『告白』では、


「自分自身をあわれまずに、アエネアスにたいする恋ゆえのディドの死を悼み、それにもかかわらず神よ、(以下熱い語りが続くので略)(アウグスティヌス『告白 Ⅰ』山田晶訳)」


 アエネアスとディドとは、古代ローマの詩人ウェルギリウスが、「トロイア戦争後、トロイア側の英雄であったアエネアスがカルタゴの女王ディドと恋に落ちた話」である『アエネーイス』という作品に出てくる人々。

 アウグスティヌスは面白い人で、ギリシア語には苦労したからギリシア文学が嫌い! ラテン語も苦手!! と言いつつも、自然とホメロスを引用し、ウェルギリウスを引用し、キケロを読んでいます。ツンデレ。

 修道士の皆さん的には「このお方はなにをおっしゃっているんだ!」と自然とホメロスやウェルギリウスなどなどを写本せざるを得なくなったということなのかなあ。


 全然話はズレますが、アウグスティヌスは昔はブイブイ言わせてたし、世慣れしすぎているし、教父のくせに(在俗時代に未婚の状態で作った)息子がいるので、CVは杉田智●の印象があります。


3、教育

 修道院は教育にも力を入れてきました。日本にもかなりの数のミッション系の学校がありますが、カトリック系の学校は修道会が母体となっています。 

 主に、サレジオ修道会やイエズス会、フランシスコ修道会やドミニコ会などが世界各地にどかどか学校を建て、様々な人材を出しています。


 では次回! 修道院の成り立ちをメモしていきます。

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