第三章 行方不明
第32話 ジャイルよ。ドンマイ! (四日目)
――翌日!
ミレットは普通にやって来た。
冒険者ギルドのロビーでミレットと昨日の話をする。
ミレットは、お父さんと話をするためにお休みをしたそうだ。
「お父さんに怒られなかった? ほら、俺はスラムの住人だから、お父さんが嫌がるんじゃないかと思ってさ」
「最初は心配していました。ですが、わたくしがきちんとユウトのことを伝えたので大丈夫です」
「そう、良かった!」
「昨日、ユウトは、どうしていたのですか?」
俺はジャイルともめごとがおきたとミレットに告げ、事情を説明した。
「まったく……ジャイルさんは……。は~」
ミレットが眉根を寄せ大きくため息をついた。
俺はふと気になってミレットとジャイルの関係を聞いてみた。
「ミレットとジャイルは知り合いだったの?」
「そうですね……。お互い顔は知っています。お話しをしたことはないです」
俺はミレットの説明がイマイチ理解出来なかった。
さらに突っ込んで質問してみる。
「それって、どういう関係?」
「お互いの親が、仕事でお付き合いがあるのです」
「ああ! なるほど、それで顔を合わせたことはあると?」
「ええ」
「あの……婚約者とか? ひょっとしてジャイルをボコボコにして不味かったかな?」
「ちっ……! 違いますよ! そもそもジャイルさんはタイプじゃありません!」
ミレットはジャイルを秒殺した。
どう見てもジャイルはミレットにご執心だった。
ジャイルよ。
泣くな。
強く生きろ。
ドンマイ。
結局昨日は、ダンジョンに潜っていない。
ドナさんとランチした後、冒険者ギルドの偉い人に事情聴取をされたり、タイソン教官と話をしたりで、午後が潰れてしまった。
「じゃあ、また、ダンジョンへ行こう!」
「行きましょう!」
俺とミレットは、冒険者ギルドのロビーを抜け外へ出ようとした。
だが、今日は人の動きが鈍く、ザワついている。
背の低い俺たちは何が起きているのか見えなくて、人の流れに身を任せるしかない。
人の切れ目から前が見えた。
ミレットがつぶやく。
「あっ……」
冒険者ギルドの出口近くに、俺たちと同世代の女の子がいる。
赤茶色の革鎧にポニーテール。
新人研修で見た顔だ。
女の子は通り過ぎる冒険者に、一生懸命話しかけていた。
「お父さんを探して下さい! 昨日ダンジョンに入って戻ってきてないんです!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます