棲魔の海辺

烏目浩輔

プロローグ


 ※プロローグ



 近畿地方の府県で最大の面積を有している兵庫県ひょうごけん。県名の由来は飛鳥時代に設置された「兵庫つわものぐら」にちなむとされている。兵庫つわものぐらとは「へいの武器庫」を意味する言葉だ。


 この兵庫県の大阪湾沿いに神戸市須磨区すまくというところがある。須磨は自然と街が調和する風光明媚ふうこうめいびな地として知られているが、その一方で奇怪な現象がしばしば起きる場所としても有名だ。


 かつて須磨はと書いて棲魔すまとよばれていた。その名が示すとおり、魔が棲む地だった。山と海の位置関係や川の流れる方向、あるいは土地の形状そのものが、須磨一帯に邪悪なモノたちをよび寄せる。


 そういった土地の因果は簡単に消えるものではない。令和の時代となった現在においても、須磨には邪悪なモノたちが集まってくる。

 とりわけ水辺はその傾向が強く、不用意に近づくのは危険である。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る