EITOエンジェル総子の憂鬱(仮)36

クライングフリーマン

くノ一VsEITOエンジェルズ

 ====== この物語はあくまでもフィクションです =========

 ============== 主な登場人物 ================

 南部(江角)総子・・・大文字伝子の従妹。南部興信所所長の妻。EITOエンジェルのチーフ。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。総子の夫。

 大前英雄管理官・・・EITO大阪支部の管理官。コマンダー。総子からは『兄ちゃん』と呼ばれている。

 足立祐子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 石動悦子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 宇野真知子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 丘今日子・・・EITO大阪支部メンバー。看護担当。元レディース・ホワイトのメンバー。

 河合真美・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 北美智子・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 久留米ぎん ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトの総長。EITOエンジェルス班長。

 小峠稽古 ・・・ EITO大阪支部メンバー。元レディース・ホワイトのメンバー。

 和光あゆみ・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 中込みゆき・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 海老名真子・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7のメンバー。

 来栖ジュン・・・EITO大阪支部メンバー。元レディース・ブラック7の総長。EITOエンジェルス班長。

 愛川いずみ・・・EITO大阪支部メンバー。EITOエンジェルスの後方支援担当になった。

 本郷弥生・・・EITO大阪支部、後方支援メンバー。

 大前(白井)紀子・・・EITO大阪支部メンバー。事務担当。ある事件で総子と再会、EITOに就職した。

 芦屋一美(ひとみ)警部・・・大阪府警テロ対策室勤務の警部。総子からは『ひとみネエ』と呼ばれている。

 芦屋二美(ふたみ)二曹・・・。三つ子の芦屋三姉妹の次女。陸自からの出向。総子からは『ふたみネエ』と呼ばれている。オスプレイやホバーバイクを運転することもある。後方支援メンバー。

 芦屋三美(みつみ)・・・芦屋グループ総帥。EITO大株主。芦屋三姉妹の長女で、総子からは『みつみネエ』と呼ばれている。芦屋三姉妹と総子は昔。ご近所さんだった。

 小柳警視正・・・警視庁から転勤。大阪府警テロ対策室室長。

 指原ヘレン・・・元EITO大阪支部メンバー。愛川いずみに変わって通信担当のEITO隊員になった。

 用賀哲夫空自二曹・・・空自のパイロット。EITO大阪支部への出向が決まった。二美の元カレ。

 友田知子・・・南部家家政婦。芦屋グループ社員。

 幸田仙太郎・・・南部興信所所員。

 倉持悦司・・・南部興信所所員。

 南部寅次郎・・・南部興信所所長。


 =====================================


 = EITOとは、Emergency Information Against Terrorism Organizationを指す =

 ==EITOエンジェルズとは、女性だけのEITO大阪支部精鋭部隊である。==


 午前9時。EITO大阪支部。会議室。

「女子学生の袴姿が始まったのは明治の中頃といいます。 畳に座る生活と比較し、椅子に座る機会が増えてきた時代。 女性も歩きやすい衣服が求められました。 外出の機会が多い当時の働く女性たちは必然的に歩きやすい『袴』を履くようになりました。」

 二美が、ネット検索をした結果を読んでいる。

「女学生が袴を着るようになったのは明治時代で、もともと十二単の一部として身に付けられていた袴は、宮中の女官服にも由来していて、きちんとした身なりの服装として認識されていたのです。 そのため、明治になると『女学生の制服』として袴を取り入れる学校が増えていきました。」

「あれやろ?『俳句さんがまかり通る』やろ?俺でも知ってるで。」と、大前が言った。

「この頃は、小学生でも、卒業式に着るらしいわ。帝塚山は、エエトコのお嬢さんがおおいさかいな。」と、総子は言った。

「その、小学生を守って欲しいのよ、総子。」と、憂いながら三美は言った。

「帝塚山レディーススクール、知ってるでしょ、総子。『ウチの』裏手の。」

「え?そこの子?三美ネエの知り合い?」「ああ。呉服屋『楊貴妃』の孫が中学卒業なの。で、その子を守るんじゃなくて・・・ヘレン、ディスプレイに小柳さん出して。」と、三美は怒鳴った。マイクもあるが、司令室は、すぐ隣のパーティションだ。

 会議室のマルチディスプレイにメールの内容が先に出た。

[今日は、どの子の『着物の端切れ』貰おうかな?高く売れるんだよねー。]

「このメールは、所謂漫画喫茶から送られている。それと、サイバーセキュリティ課から、闇サイトで着物の端切れを高く買う、手段は問わない、という『お誘い』が出ていた、と報告が上がっている。もう、存在しないが。短大生とか、毎年着物袴で卒業式に出るのが、最早定番となっているが、最近では小学生にまで、卒業式に着物袴を着せる親がいる。今時の流行りと言えば流行りだが、ヒートアップして、帝塚山レディーススクールでは、小学校から高校まで、全部その衣装で卒業式を行うらしい。まあ、お金持ちの学校ではあるが、呉服屋が前面レンタルして営業に繋げる積もりだった。」

「だった?」「大前君。このメールは、SNSでも拡散しているんだよ。常識ある親なら着せないだろう?」「そらそうですわなあ。」「辞退したのは、90%だ。この脅しの真贋が見分けにくいから、EITOの案件になった。」

「なった、って言われても。」「呉服屋の分家が、EITOでもお世話になっている、『ヒロインズ』なんだよ。詰まり、呉服屋の商売の為に、全面禁止には出来なかったんだ、着物袴の卒業式参加は。で、交渉した。EITOに『テロ防止』対策として、着物袴を着る生徒のデータを送り、万一誘拐された場合の発信器を身につけることを条件にした。」

「成程。発信器の検索システムはEITOにあるから、総合的に監視した上で、事件発生時にEITOエンジェルズ出動ですか?」「その通りだ。」

 2人の会話を受けて、三美が話を纏めた。

「今回は、南部興信所にも協力を依頼したわ。ウチの警備会社の警備員も配置するけど、拠点の監視張り込みを依頼したわ、総子。黙ってた訳じゃ無いからね、南部さんを責めちゃダメよ。」「うん。分かった。ウチらは、ちょっと離れた所で待機して、合図あったら、つまり、何かあったら出動やな。」

 午前10時半。帝塚山レディーススクール。小学校正門。

 幸田と倉持が待機している。

「えらい時代になったなあ、倉持。」「以前は、短大生でお決まりでしたけどねえ。」

 2人は警備員の格好をして、無線装置もちゃんと着けている。この無線装置は、今回特別にEITOのシステムとリンクしている。詰まり、EITO大阪支部の大前もモニタリングしている。

 2人目の着物袴の小学生が正門を通過した時、トラックが通過した。

 てっきり、ごつい男達が降りて来ると思っていたら、何と、『くノ一の衣装』の女達だった。

 幸田は迷わず、長波ホイッスルを吹いた。長波ホイッスルとは、犬笛の様な笛で、EITOの、簡単な合図に用いられることが多い。南部興信所は、EITO大阪支部と協力することが多いので、こういう場合は携帯している。その上で、幸田は短く連絡し、正門から少し遠ざかった。戦闘はEITOエンジェルズの担当だ。

 くノ一は、ナイフを取り出して、着物袴の生徒を追い回し始めた。

 駆けつけた、ぎん、祐子、悦子、真知子達は、バトルスティックとバトルロッドで応戦した。

 くノ一は、ナイフは使い慣れているようだが、『くノ一の衣装』には慣れていなかったようだ。幸田がよくみると、ちゃんと着付け出来ていない。約30分で、ぎん達は平定した。

 午前10時半。帝塚山レディーススクール。中学校正門。

 花菱と横山は、暫く様子を伺っていたが、トラックが乗り入れたので、花菱は長波ホイッスルを吹いた。

 中から降りて来たのは、『くノ一の衣装』の集団だった。ここでも、降りて来た女達は、数ある生徒たちの中から着物袴のナイフで生徒を追い回し始めた。

 駆けつけた、ジュン、今日子、真美、美智子達は、バトルスティックとバトルロッドで応戦した。

『くノ一の衣装』には慣れていない相手だったから、約30分で、片はついた。

 午前10時半。帝塚山レディーススクール。高校正門。

 南部と用賀は、暫く様子を伺っていた。

 すると、トラックがやって来た。南部は、迷わず長波ホイッスルを吹いた。

 トラックから降りた、『くノ一の衣装』の女達は、他の生徒には目もくれず、着物袴のナイフで生徒を追い回した。

 駆けつけた、総子、稽古、あゆみ、みゆき、真子達は、バトルスティックとバトルロッドで応戦した。

『くノ一の衣装』には慣れていない相手だったから、約30分で、片はついた。

 午前11時半。

 小学校、中学校、高校の卒業式が30分遅れで始まった。

 午後1時。EITO大阪支部。会議室。

 マルチディスプレイに小柳警視正が映っていた。

「皆、ご苦労様。捕まえた女達は、闇サイトで仕事を請け負って、前金などは受け取っていなかった。暇つぶし半分面白さ半分だった、と供述している。『くノ一の衣装』だが、呉服屋『クレオパトラ』が用意したもので、女達は、借りに出向いたようだ。クレオパトラは『サプライズパーティー』用だと弁解している。どうだかな?楊貴妃とクレオパトラはライバル関係で、クレオパトラは、楊貴妃を止めた社員達で立ち上げた会社だ。闇サイトとグルかも知れない。それと、東京でも、着物袴の生徒を狙った者達がいて、逮捕された。中津興信所から通報を受けた、SATが動いて、速やかな逮捕だった。何しろ、狙われたのは都知事の孫だからな。こちらの事件と関係があるかどうかは、五分五分かな?向こうは『くノ一の衣装』」使わなかったらしいから。」

「使わなかった?じゃ、服装は?」と尋ねた大前に、「スーツ。日本人で、男達だ。テレビで追いかけっこする番組があるだろう?生徒達は番組ロケと思っていたそうだ。誘拐予告を受けていた、総理の孫は無事救出された。中津興信所の連中と学校の警備員で取り押さえたそうだ。」と小柳は答えた。

「すると、共通点は闇サイト?じゃあ、クレオパトラとグルでも無さそうですね。」

 総子が言うと、「とにかく、進展があれば報せるよ。」と小柳が通信を切った。

「三美ネエから、ありがとう、ってメール来てるよ、兄ちゃん。」

「そうか。まあ、大事でなくて良かったな。京都の案件はライターの火があったらしいから、やっぱり別件やな。」

 大前は、解散を命じて、皆は帰宅した。

「コマンダー。今の内に整備していいですか?」と、用賀が言って来た。

「そやな。はい。ご褒美。」と、大前は煎餅を一袋、用賀に渡した。

 用賀は、無言で出て行った。

「2袋の方が良かったかな?」と言う大前に、ヘレンも弥生も紀子も総子も笑った。

 午後7時。総子のマンション。

 友子の帰った後、南部と総子はテレビのニュースを観ていた。

 呉服屋クレオパトラの専務が逮捕されたニュースだった。

「結構、やらかしてるで、こいつ。借金作って、横領して、闇サイトに乗っかって、素人利用して。くノ一は、元レディースらしいな。総子、隊員に欲しいと思うたるやろ。まずは更正してからや。」

「兄ちゃんも、そう言ってた。そらそうやな。それに、ぎんやジュンのグループ程やなかったしなあ。いつか隊員に採用しても、鍛えるのに時間がかかるわな。なあ。寅次郎、今日は『特別の衣装』用意しといたで。」

 南部は、洗い物をしながら、聞こえないふりをした。

 ―完―


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