転生?男爵家嫡男の僕とお姫様達が死滅の運命を回避する為の領地改革

じん いちろう

第1話 プロローグ

貧乏貴族家嫡男の朝は早い(遅い)。


専属メイドに優しく(蹴り上げられながら)起こされ、洗面器に入った(氷のように痺れるほど冷え切った)水で顔を洗い、本来は執事がするであろう今日の予定の説明をこの優しい(怖い)メイドのマリーにされながら朝食を食べる為にだけ(擦り切れたスーツに)着替えさせられて(はっきり言って恥ずかしい)、マリーの案内で家族が待つ食堂に向かう。


「なあ、マリー?」


「何でしょうか、シン様。」


「毎朝起こしてくれるのは有り難いんだけど、もう少し優しく……………」


「起きられるのですか?優しくして。」


「………………………………………………」


「無理ですよね?」


反論できない!


「このあいだは優しく起こして差し上げてお顔を洗わなかったら、お昼過ぎまでベッドで寝ぼけてたじゃないですか。」


その通りなので大人しく先導されながら歩き続けて、無駄に広い屋敷の中を欠伸混じりに背伸びをしようとしたら、


「シン様、誰が見ているかわかりませんので、自室以外ではシャンとして下さい。」


前を向いたままのマリーに、叱られてしまった。

ていうか、何故見える?何故わかる!


「誰が見てるっていうのさ?」


「王家の影とか公爵家の草とか?」


「まさか〜、そんな訳………………………」


廊下の隅で『ガタッ』という大きな物音と、遠くで『ドガシャーン』と派手に何かが割れ落ちる音がしたけど、偶然で気のせいだよね?


「何で王家や公爵家が、しがない男爵家の嫡男を監視するのさ?」


「(はぁ〜、自覚の無いのも困りものですね。)」


「マリー、今何か言った?」


「何も言っておりません。早くまいりますよ、皆様お待ちでしょうから。」


久しぶりの休暇で帰ってきた我が家で、僕の家族は皆早起きで一仕事一勉強してから朝食に着くのが当たり前で、基本怠け者でそんな事はした事のない僕とはホントに血の繋がった家族かどうか疑わしくなる事もある程で。


「あ〜、マリーのお陰で僕もだいぶマトモになってきてるかも。感謝してるし、大好きだよ?」


「何でそこで疑問形なんですか!」


首筋まで真っ赤になって恥ずかしがってるから、顔を見ようと思って前に出ようとしたら肘打ちを鳩尾に食らって悶絶してしまった。


何故!

解せぬ。






作者より


またまた思いつきで始めてみました。

不定期更新になります。

未完の作品が多数残ってるのに、年度末の修羅場を控えているというのに、何を考えているのか自分でも良くわからなかったりします。

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