第21話:バレンタインデーのどうでもいい話。

その日は恋人たちのクリスマス・・・その日ばかりは目をつぶっていても

必ずやってくる。

街では例のクリスマスソングがかかっていた。


ご多聞にもれず一吾は苺にイヴの夜のサプライズを考えた。

そして今夜のエッチの演出も・・・。


言葉責め・・・目隠し・・・拘束・・・スパンキング・・・アダルトグッズ

・・・いいなって思ったが、それはただ思っただけ・・・。


結局は苺は普通がいい子・・・変態ちっくな行為は好まない。

ノーマルな子だから・・・ちょっとアブノーマルな一吾とは違った。

一吾は決して無理強いはしない・・・自分の欲求より苺のことを優先している

からだ。


苺は一吾はどこまでエスカレートして行くんだろうって不安に思ったこと

もあった。

でも一吾が普通のセックスに満足してくれてることに少しホッとしていた。

人間って結局、安定安心を求めるのかなって思った・・・。


たとえば車でもバイクでもそうだがカスタムにハマって改造しまくったあげく

最終的に改造することに飽きて、ノーマルに戻ってくるってパターン。

ノーマルの良さ、安定さを求める・・・一吾の場合もそれと似ているのかも

しれなかった・・・ノーマルが一番。


だから苺のパンツも普通のパンツが一番。

最初の頃はセクシーランジェリーなんか履いてって履かされた時もあったけど

それも今は飽きたのか要求されなくなった。


要するに一吾は飽きちゃったって言うか、いろいろ考えるのに疲れちゃった

のかもね。


そして2月14日、 バレンタインデー。


バレンタインとかクリスマスとかって、お菓子屋が儲けるために広めた

イベント?・・・じゃないのかなって一吾は思っていた。

そうかどうかは誰にも分からない。

そうだと断定したら、お菓子屋さんが怒ってきそうだった。


ってことでご多聞にもれず、一吾も苺から愛のこもったチョコをもらった。


一吾は子供の頃から無類のチョコ好き、メイドの次に。

だからバレンタインデー用に作ったチョコはキラいだった。

高いだけで美味いと思ったことがない・・・見かけだけはオシャレな箱に

入ってて中身がしょぼい。

まあそうじゃないちゃんとしたチョコもあるんだけど・・・。


結局、普通のお菓子メーカーが作ってるチョコが一番美味い。


そのことを知ってる苺は普通のチョコを買って来た。


「チョコもらうのは嬉しいけど・・・ホワイトデーが怖いな」


「だね・・・楽しみにしてるからね」

「ところでさ・・・聞きたいんだけど・・・イッちゃん、私に隠れてエッチい

動画とか観てるでしょ? 」


「なんで?」


「イッちゃんのPCに略歴残ってるもん。エッチい動画の・・・」


「え?・・・・見たの?僕のパソコン?」


「ああ、やっぱりエロっちいの観てんだ・・・・」

「私のだけじゃ物足りなくて?・・・」


「じゃなくて・・・なんて言うかな・・・現状維持ってやつだよ」

「それに男は視覚的、聴覚的、接触的要素必要だし・・・」


「なに、その現状維持って、視覚的って?・・・」


「男性は視覚や聴覚で興奮するんだよ」

「だから苺を見たり触ったりしたらエッチしたくなるの」

「それにモチベーション保つって意味でも動画見るのは必要なことなんだから」


「そうなの?・・・そんなもの?」


「私はまた、私以外の女がよくて動画浮気してるのかと思った」


「なに、その動画浮気って・・・」


「動画でよその女見て興奮してるってこと・・・ほら、SNSで他の女性と

疑似恋愛的な?」


「それはちょっと違うだろ?」


「動画の場合は一方通行じゃん・・・擬似恋愛は相手がいるだろ?」

「動画はいいけど擬似恋愛はやってないからね」


「されたら困るし・・・」


「まあ洋食ばかり食べてたら、たまには和食も食べたくなるってこともあるしな」


「なにそれ・・・それが本音?」


「いやいや、だからモチベーション保つためだって 」

「僕がエッチに興味なくなったら苺だって欲求不満になっちゃうだろ」

「常に女性に対して奉仕の精神な男には必要なことなの・・・分かった?」

「女には男の性的欲求のことはなかなか理解できないんだよ」


「たしかにね男性の本質は男じゃない私には分かんないかもね」


「僕はまだまだ苺とラブラブしてたいし・・・レスになんかなりたくないからね」

「そのために努力、奮闘してるんだからさ・・・」

「いいだろ?、ぜ〜んぶ、苺のためなんだから・・・」


「・・・そう言われちゃうと返す言葉ないけど・・・」

「なんだかな〜いいように誤魔化された気がする・・・」


で、まあそんな、どうでもいい話をしてたためか一吾は苺にアホな質問をした。


「それより苺・・・今日、何日だっけ?」


「なに言ってんの・・・今日は2月14日・・・バレンタインデーだよ・・・

チョコあげたでしょ・・・ほら手にチョコ持ってるじゃん」

「早く食べないと手に持ったままだと溶けちゃうよ」


「そうか・・・僕、ボケてるな・・・ボケついでにチョコと一緒に苺も溶かし

ちゃおっかな〜」


「スケベ〜」


つづく。


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