【黒歴史放出祭】エロ本

ナカナカカナ

【黒歴史放出祭】 エロ本 1

 高校性……

 誤字ではない。高校『性』の頃の話だ。

 男子高だった私はひどく持て余していたものがあった。


 性欲だ。


 周りに女人などいない閉鎖空間。

 学校の校門の前に女生徒が立っていようものなら、皆窓から体を乗り出し、はやし立て、奇声をあげ、トイレットペーパーを紙テープのように乱れ飛ばしていた。(本当です)

 そんな学校の生徒に彼女など出来るはずもなく……私は、ただ悶々と毎日を過ごすのみだった。

 唯一……当時の私にオアシスと呼べる存在があったとするならば、友人達から回ってきたエロ本だった。

 手垢まみれのそのエロ本は折り目がつき


 ふむ……皆ここで癒されたのだな。


 と分かってしまうのが少しだけイヤだった。

 かくいう私もその折り目がついていたページがお気に入りだった。そのページの女性の名前を今でも覚えている。

 亜梨沙だ。

 亜梨沙は私にとっての女神であった。

 しかし、やはりどんなものにも『飽き』というものがあるのだ。

 ある日突然、私はそのエロ本に飽きてしまった。気分がノらなくなってしまったのである。

 しかし募っていくのは有り余る性欲。


 どうしたものか……


 日々エロ本とにらめっこをし……私はある一つの結論にたどり着く。

 私はエロ本に飽きた・・・・・・・のであって亜梨沙に飽きたのではない・・・・・・・・・・・・ということに。

 そう……私は違う亜梨沙が! 違うシチュエーションの亜梨沙が! 違うコスチュームに身を包む亜梨沙を見たかったのだ。


 非常に困難な状況だった。

 ネットが普及している今ならばスマホで簡単に違う亜梨沙を検索出来たかもしれない。

 しかし当時はまだネットなど、それほど普及もしておらず家にパソコンもなかった。


 新しい亜梨沙が見たい!


 私は性欲を超え、もはやその思考に日々を支配されていた。

 

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