第29話 天翔る馬に乗って魔王城へ向かった!
キモヲッタから教えてもらった住所によると、フドーイセイコーが住む魔王城はネクラナンダの街の北に聳える山の上にあるらしい。
だが、その山の周囲はどこも断崖絶壁のため、歩いて登っていくのはほぼほぼ不可能といっていい。
うーん、どうしたものか。空を飛べるような何かがあれば……。
聳え立つ山を前にして軽く行き詰まったところに、ファイアおじさんがかつて天翔る馬による天空競馬の馬主をしていたという話を思い出した。
その馬なら、きっとこの険しい山もひとっ飛びで翔上がってくれるに違いない。
そこで俺は、ファイアおじさんへ連絡を取り天翔る馬について尋ねた。
「天翔る馬? あぁ、ロリコーンのことかい?? 確かに僕は馬主をしていたけれど……」
ファイアおじさんの話によると、コーマンショックで全財産を溶かした時に、ロリコーンも泣く泣く手放してしまったのだという。
……んだよ、肝心な時に使えないおっさんだな。
だが、ロリコーンは今、パネーシ・ロリンクスという男が所有しているという情報を得た。
こうなったら、その男に直接掛け合ってロリコーンを貸してもらうしかない。
「あ、ところで勇者の君にお願いがあるのだけど。ここのところ全然メスガキをわからせていないんだ。だから、誰かいいメスガキを紹介して……」
――ピッ。
もう用件は済んだので俺は早々に通話を切った。その後もファイアおじさんから何度も着信がありウザかったので電源を切り、俺たちはパネーシが住むというアナハイルという街へと向かった。
その街にある瀟洒な洋館に、パネーシは一人で住んでいるという。しかも、親の脛をかじり倒すほどの筋金入りの引きこもりおじさんだそうだ。
そうした情報を事前に得ていた俺は、セオリー通りいきなり室内に入るようなことはぜず、コトを済ませたのを確認してから中へ入った。
「わからせちゃダメだ……、わからせちゃダメだ……、わからせちゃダメだ……」
もはやこの手の輩のデフォルトであるかのように、ゴミと使用済みティッシュで溢れた部屋の中に氷河期とみられるおっさんが佇み、念仏のように何ごとかを呟いている。
こいつは特級なくらいガチでヤベーやつだ……。
あまりのヤバさに、俺ですら話しかけるのを躊躇うほどだったが、意を決してここに来た用件をパネーシに伝える。
「……ロリコーン? あぁ、君たちもロリコンなのか??」
いや、そうじゃないって。あ、いや、そうではあるんだけど、今はその話ではない。
「ところで、君はどんな
は? どんな乳タイプ??
何言ってんだ、こいつ……。
これは何かの謎かけなのか? 下手に答えて間違えでもしたら、ロリコーンを借りられなくなるかもしれない。
どう答えればいい……。
……ん、そうか、わかったぞ! こいつは俺にどの
「俺の乳タイプはAAAだ!」
確信を持ってそう答えると、パネーシは力強く頷いた。
「俺の唯一の願い、己自身のケダモノ、わからせのメタファー。パパン……ママン、めんご……。俺は……わからせに行くよ!」
どこからともなく、壮大なオーケストラ調のBGMが聞こえてくる。
こうしてパネーシは、俺たちをロリコーンへ乗せると颯爽と駆け出した。
だがロリコーンは、いつまで経っても地上を駆けるだけで空を飛ぶ気配がない。
一体どうなってるんだ? これでは魔王城のある山の上までたどり着けないぞ。
「何かメスガキにまつわるアイテムを持ってないか?」
ロリコーンを駆るパネーシがそんなことを聞いてきた。
メスガキにまつわるアイテムだと?
そこで俺は、魔王への手土産にと思っていたパンツ売りのメスガキからもらったパンツを取り出した。
「それは新品か? それとも使用済みか??」
「安心しろ。これはとびっきりのメスガキが俺の目の前で直脱ぎしたもの。つまり使用済みのパンツだ!」
「なら、それを俺の顔に被せてくれ!」
お前もそういう性癖の持ち主だったのかよ……。
俺は軽くドン引いたものの、言われるがままメスガキのパンツをパネーシの顔面に被せてやる。
すると、パネーシとともにロリコーンが輝きだし、天高く翔け上がり始めた。
パネーシ曰く、メスガキのパンツを被ったことによりLC-D(ロリコンドライブ)モードが発動したのだという。
色々とツッコミどころが満載なシステムだが、何かすごいぞ、パネーシにロリコーン!
こうして俺たちは、大空を翔るロリコーンによって魔王城のある山の上にたどり着いたのだった。
余談だが、調子に乗ってLC-Dを多用したパネーシは、ほどなくして廃人になったらしい。
どうやら、このLC-Dとはロリコンドライブではなく、ロリコンデストロイヤーという意味だったようだ。
いやまぁ、元から廃人みたいなものだったろうと、俺は心の中でツッコミを入れた。
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