第18話 わからせ親子丼も味わった!

 メスガキ姉妹をわからせた俺たちは、二人の案内で山賊団のアジト『凌辱泊』にやってきた。


「ただいま~♡ ここがあたしらのうちだよ♡ おじさんたち、入って入って♡」


 メスガキ姉妹は、まるで学校帰りに友達でも連れてくるような気軽さで俺たちをアジトへ招き入れた。


「あ、でもババアは入ってくんなよ♡」

「キーッ、何ですってこのメスガキ! またコレでわからせるわよ!」

「まぁまぁ、落ち着けって」


 メスガキ姉妹からアジトに入るのを拒絶されていきり立つトヨーコを、俺はどうにかこうにかなだめて中に入った。


 山賊団のアジトというからどれだけ物々しいのかと思ったら、中はまるで古びた公営団地の一室のような作りになっていて妙に生活感に溢れている。


「あんたたち、こんな時間までどこほっつき歩いてたの!」

 

 奥からもう一人、女の子が出てきた。頭にはバンダナを三角巾のようにして被り、片目にはドクロ模様をあしらった眼帯をした異様ないでたちだ。さらに手には青竜刀のようなものまで持っている。


 もしかして、この女の子が山賊団の団長なのだろうか?


「ねぇママ~♡ 今日は氷河期のおじさんを狩れなかった~♡ でも代わりにすっごいの見つけたんだ~♡」


 メスガキ妹が甘えた声で団長と見られる女の子の元へ走り寄り抱きついた。


 えっ!? ママ……だと??


 確かにその女の子の髪色や顔立ちはメスガキ姉妹とよく似ている。年齢もぱっと見はJK2~3くらのようだが、声音や肌の色ツヤからするともっと上、30は超えてそうではある。


「コドージ殿、私にはわかります。見た目は若そうですがあの女、ババアですよ」


 こういうことにはひどく敏感なシコルが、顔を近づけてそっと耳打ちしてきた。


「ちょっと、聞こえてるんだけど! 失礼ね、あたしはババアなんかじゃないわよ! まだ18のぴっちぴちなJKなんだから!」

「ふんっ、笑わせないでください。本物のJKはぴっちぴちなどとは言いません。それにそもそも、JKなどみんなババアですよ」


 女の子の主張に対してシコルは不快感を露わに吐き捨てた。


「おい、おっさん♡ ママのことババアって言うんじゃねーよ♡ そりゃほんとは33だけど、設定では18のJKってことになってんだから♡」


 メスガキ姉があっさり本当のことを口走ってしまった。ていうか、実年齢は33なのか。それでJKに見えるってすごいけど、でもやっぱりババアであることには変わりない。


「ちょっと、お姉ちゃん! それは絶対に言っちゃダメだって言ってるじゃないの! もう、あんたって子は!」


 メスガキ母が青竜刀を振り回してメスガキ姉を追いかけ回す。


「ところで、このおっさんたちは一体誰なの? 薄汚いジジイやケバいババアまでいるけど」

「はぁ? 今ババアって言った?? ババアのあんたにババアって言われる筋合いはないんだけど」


 ババアという言葉に敏感に反応したとトヨーコが、メスガキ母に向かってキレ気味に言い放った。


「あ? ババアにババアって言っただけなんだけど、何か文句あるわけ??」


 メスガキ母も負けじと言い返して、両者の間でバチバチに火花が飛ぶ。


 いやさ、この勝負、ババアという点では圧倒的にトヨーコの負けだと思うのだが。


「コドージ、このクソ生意気なババアをわからせちゃってよ!」


 おいおい、無茶言うなって。こいつは自称18のJKというだけで、中身は三十路を過ぎたババアなんだぞ。まぁお前よりは全然マシだけど。


「はぁ? あたしがこんな氷河期のおっさんなんかにわからせられるなんてまっぴらごめんだわ!」


 メスガキ母は俺に向かって、まるで汚物でも見るかのように吐き捨てた。メスガキにそう言われるならいいけど、ババアからだと何だか無性に腹が立ってくるな。


「ママ、違うの! このおじさん、すごいんだってば!」

「そうよ、ママのこともわからせて欲しくて、それであたしたちこのおじさん連れてきたの!」


 メスガキ姉妹が母にしがみついて必死に訴えている。


 この姉妹、メスガキではあるけど何とも母親思いのいい子たちじゃないか。俺はこのメスガキ姉妹の健気さにちょっとうるっときた。


「何訳わかんないこと言ってんの! あたしは氷河期のおじさんから金品を巻き上げてこいって言ったのに、こんなクソざこなおじさんを連れてくるなんて! あんた達ったら、ほんっと役立たずね!」


 そう言うとメスガキ母が姉妹のことを折檻しだした。


 おいおい、これってめっちゃ虐待じゃないか。しかも、自分の子供にオヤジ狩りを強要してたわけで、こいつはとんでもない毒親だ。


 しょうがない。ここは甚だ不本意ではあるものの、メスガキ姉妹のためにこの毒親の目を覚ましてやる必要があるな。


「ちょ、コドージ殿? ま、まさか……!? 早まってはなりませんよ!」


 俺の気持ちを察したシコルが目の前に立ちはだかったが、それを押しのけると俺はメスガキ母に《わからせ棒》を使った。


「は? ちょっと何のマネ?? 氷河期のおっさんのなんか嫌よ! そんなキモいの近づけんな! ちょ、お゛ほぉお゛お゛お゛お゛お゛……」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「あ゛っ♡ あ゛んっ♡ お゛っ♡ ほお゛っ♡ い、いい♡ 何よこれ……♡ お゛っふ♡ あ゛ひっ♡ ふお゛っ♡ お゛んっ♡ すっごくいい♡」

「あ~、ママばっかりズルいよ~! あたしもおじさんの欲しい♡」

「あたしもあたしも~♡ あ、でもお姉ちゃん、あたしが先だからね♡」


 メスガキ姉妹もおねだりしてきたので、俺は二人にも《わからせ棒》を使った。


「ひゃん♡ あっ♡ あっ♡ あんッ♡ はっ♡ あッ♡ はひッ♡ んあっ♡ はんッ♡」

「もぉ、お姉ちゃん、あたしが先だって言ったじゃん! あたしにも~♡ ひゃあ♡ あんっ♡ あっ♡ あんっ♡ はッ♡ おっ♡ はんッ♡ ああ♡」

「こら、あんたたち、ママにもよこしなさい! お゛んっ♡ あ゛っ♡ ん゛おっ♡ お゛ッ♡ あ゛ん゛っ♡ お゛っふ♡ お゛ほっ♡ あ゛ッ♡ あ゛ひっ♡」


 俺は《わからせ棒》を使った。


「はんっ♡ あッ♡ お゛ッ♡ はっ♡ あんッ♡ いい♡ はっ♡ あひッ♡ あああ♡」

「あんッ♡ おっ♡ ん゛あっ♡ はひッ♡ あっ♡ もっと♡ もっとくだひゃい♡ はあああああ♡」

「お゛うっ♡ あ゛んッ♡ ん゛おッ♡ 最後はあたしでお願い♡ お゛ッ♡ ふお゛っ♡ ん゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛♡」


 こうして俺は、初めてのわからせ親子丼を思う存分味わい尽くしたのだった。


 そのあと、いつものようにヤライソが親子丼をおねだりしてきたので好きにさせたのだが、シコルだけは親子丼は頑なに拒み、姉妹丼だけを味わった。


「ね、ママ、クソざこなおじさんだと思ったらすごかったでしょ?♡」

「あたし、この氷河期おじさんにずっとウチにいて欲しい♡」

「そうね♡ 他のジジイやババアはいらないけど、《わからせ棒》をもってるおじさんならウチにいて欲しいわね♡」


 メスガキ親子にすっかり気に入られた俺は、このままここにいて欲しいと懇願されたのだが、魔王討伐をしなければならないからと断った。まぁ本当のところは、魔王討伐なんかより、世界中のメスガキをわからせて回ることが目的なんだけどな。


「そっか~、ざんね~ん♡ それじゃあ~、魔王を倒したらあたしらのパパになってよね♡ それまでこれをあたしらだと思ってオカズにしてもいいよ♡」


 俺はメスガキ姉妹から《メスガキ姉妹のお宝》を手に入れた。何でも、それらはフリマのメスカリに出品しようとしていたものらしく、メスガキ姉妹のアレやらコレやらが詰め合わせになった、まさしくお宝と呼ぶにふさわしい品々だ。ファイアおじさんもこれなら満足するだろう。


 メスガキ母も下着を脱いで寄こしてきたので、俺はそれを渋々受け取ると、こっそりヤライソに手渡した。

 

 それらのお礼として、このメスガキ親子の生活を支えてやるため、俺はロリアマ王に連絡を取り、毎月俺に振り込まれる金の一部をこの親子に充てるようにしたのだった。

 

 これでもう山賊なんか辞めて、氷河期おじさん狩りもしなくなるといいのだが。

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