第2話
俺は人間が嫌いだ。嫌、地球上の生き物全てが。
でもお前らは違う、こんな俺に生きる意味を与えてくれたんだからさ。
お前らと会った時の事を思い出す。
去年の春、放課後に忘れ物を取りに教室に戻った俺は、間違えて他の階に行ってしまった。
「だる」
無意識のうちにそう口から溢れてしまった。
しかしそんな煩わしい気持ちは、一気に消し飛んでいった。
開けっぱなしにされたドアの向こうに広がる教室。
窓際には、笑顔で話す三人の男女の姿があった。
窓から差し込んだ太陽の光を浴びる三人の肌は、透き通るように白く、
宝石のように美しい髪は、彼らが動く度にサラサラと揺れる。
その姿はまるでそこだけスポットライトが当たっているかのように輝いて見えた。
三人から視線を逸らすことが出来ず、かといって動くことも出来ない。まるで射貫かれたようにその場に立ち尽くしていると、やがて三人は顔を上げて、さっきのようにぱぁっと笑顔を浮かべた。
「留斗の親戚じゃん!」
三人の内一人の少女がそう言った。
「留斗」それは、俺の年上の親戚だ。
そういえば兄貴の友達にこんな人達居たな――
そこから三人は俺を兄弟のように、可愛がってくれた。
くだらない話も笑顔で聞いてくれた。死にたくなっても生きる理由を教えてくれた。
分かってるさ、こんなゴミみたいで狂った世界で正気で生きているには、笑顔でいなければならない事くらい。
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