将来設計時計

ネオミャウ太

第1話

「康二、時計が届いたぞ」


 と言って父親が俺に時計を渡してくる、それを見た俺は

「これは何?」


 と聞くと父親は意気揚々と

「これはな将来設計時計といってな、これに将来の夢を設定すると今なれる確率や今最適な練習方法など、色々教えてくれるんだ」


「へえー、凄い機能だね」


「そうなんだ、凄い機能なんだよ」


「そんな凄い物どこで手に入れたの?」


「実はこれは国が新しく導入しようとしてる機械でな、コウジの夢を書いて応募したら当選したんだよ」

 と父親はドヤ顔で言ってきた、なんだよ当選しただけかと思いながら


「これってどう使うの?」

 と質問すると父親は笑った後


「すまない、当選した事が嬉しくてね、言おうと思っていたら、読むの忘れった、これから一緒にみようか」

 と父親が提案してきたので俺は父親について行き、説明書を読む事にした。


 説明書を読み終えた俺たちは早速時計をつけ、起動する。


 起動すると時計が

「初めまして、私は将来設計時計のナビゲーターAIのケイコです、よろしくお願いします」


 と話してきたので起動したなと父親と顔合わせていると


「あなたの名前とあなたの夢を設定して下さい」

 とケイコが言ってきたので俺はマラソン選手と打ち込む。


 すると時計の表示が変わり


「康二様は今、50%の確率でマラソン選手になれます、ですがこのメニューをこなす事で確率が上がります」


 とケイコが言ってきたので俺は早速ケイコの練習メニューをこなす事にする。


 ケイコの練習メニューが終わると


「康二様は今、50.00001%の確率でマラソン選手になれます、明日も私が作る練習メニューをこなす事で確率が上がります、なので明日からも頑張りましょう」


 とケイコが言ってきたので0.00001しか変わんないのかよと思いながら、明日から頑張る事にした。


 それから俺は毎日、陸上部が無い学校なので放課後になったらケイコの練習メニューをこなす日々を過ごす。


 そんな日々を過ごしていると

「康二様、60%の確率でマラソン選手になれます」


 とケイコが言ってきたのであれだけ頑張っても10%しか上がんないのかと思いながらも着実になれる可能性が上がってきているなと喜びながら家に帰るとテレビでニュースのアナウンサーが


「将来設計時計が正式運用される運びになりました、今将来設計時計を持っている人は自動的的にアップデートされる為、そのままお持ちになっていても大丈夫なようです」


 と言っていたので正式運用されるのかーアップデート楽しみだなとそんな事を考えていた。


 それからも俺は毎日同じようにケイコの練習メニューをこなす日々を過ごしているとケイコが


「アップデートしました、康二様、あなたがマラソン選手になれる確率は40%です」


 と毎日頑張っているのに確率が下がるという訳の分からない事を言ってきたので俺は


「どうして下がっているんだ」


 と少し荒い口調で言うとケイコは冷静に


「利用者にマラソン選手を望む人が増えた為、このような結果となりました」


 と言ってきたのでライバルが増えたのだなと思いながら、練習を更に励む事にした。


 次の日いつもより頑張って練習メニューをこなしているとケイコが


「康二様、マラソン選手になれる確率が20%を切りました、別の夢を設定する事が推奨されます」


 と言ってきたが俺はムカついたので聞かずに練習メニューをこなし、家に帰る。


 練習メニューを必死にこなしてもマラソン選手になれる確率が下がる日々を過ごしているとケイコが


「康二様、マラソン選手になれる確率が0%になってしまいました、これ以上続けても時間の無駄になりますのでこちらの方で夢を設定します」


 とふざけた事を言ってきたので俺は将来設計時計を外し、練習メニューをこなす。


 将来設計時計を付けずに自分で考えた練習メニューをこなしていると高校生になった、中学には無かった念願の陸上部に入ろうと入部届けを顧問に出そうとすると顧問が


「受け取る前に一つ聞いて良い?」


 と聞いてきたのでなんだろうと思っていると


「君、将来設計時計になんて書いた?」


 と聞かれたので素直に


「マラソン選手ですけど」


「一回時計を見せてくれない」


 と言われたがあれ以降外していたので


「すみません、家に置いて来ました」


「そうか、明日からつけてきなさい、あの時計の練習メニューは優秀だから」


 と言ってきたので俺は嫌だなと思いつつも仕方ないかと思い


「分かりました」


 と言い入部届けを提出する。


 俺は家に帰り、将来設計時計を手に取り起動するとケイコは


「康二様、私の方で、あなたに合う将来を設定しました。このメニューをこなせば良い人生が送れます、なので今から頑張りましょう」


 と夢を勝手に変えてきたのでムカつきながらも、顧問がつけてこいと言ってきたので俺は将来設計時計をつける事に決めた。


 次の日俺は陸上部に入部し、練習を始めようとすると顧問がやってきて


「お前ら、ちゃんと時計はつけているな、時計の言う通りの練習をこなしてくれ、以上だ」


 と言ってきたので時計を起動すると


「康二様、これをこなして下さい」


 とケイコが表示したのは練習メニューではなく、勉強メニューだったのでどうしようと悩み、周りと同じような練習メニューをこなして過ごす。


 周りの見様見真似の練習メニューでは当然結果が出る事は無く、三年間出場選手に選ばれる事は無かった。


 そんな三年間を終え、部活を辞めた俺はこれからどうすれば良いんだよと自暴自棄になり、時計を地面に叩きつけたすると


「康二様、この努力は無駄になりません。康二様、こちらの将来はいかがですか」


 と最新のアップデートか、慰めの言葉と興味もない将来を提示してきたので俺はムカつき


「努力が無駄にならないってどういうことだよ、俺はマラソン選手になる為に努力してきたんだよ、努力が無駄にならないって簡単に言うんじゃねーよ」


 と怒鳴りつけて時計を叩き割る。


 もうどうでもいいやと思っていると


「お兄さん、もしかして、時計に人生を狂わされた感じ」

 と知らない人が話しかけてくる。


 無視していると


「分かるよ、お兄さん、分かるよ、お兄さんも時計によって人生破壊されたんでしょう」


 更に無視をする


「突然、話しかけてごめんね、でもお兄さんに良い話をしようと思ってね」


 当然無視をする


「話しだけでも聞いてね、俺たちもさお兄さんみたいに人生破壊されたのよ、だからお兄さんの気持ちが分かるんだ、ちょっとそこで話さない」


 と言ってきた、俺はこの人なら分かってくれるかもしれないとついて行く事にした。


「続いてのニュースです、高校生の男が麻薬の所持の疑いで逮捕されました、、、」

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将来設計時計 ネオミャウ太 @neomyuta

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