流動人間

モンブラン博士

第1話 美琴の別離宣言!

ある日の夜。おにぎりとコロッケの夕食をとっていた美琴はムースに提案をした。


「ムースさん。わたしたち、しばらく距離をおきませんか?」

「ごめんなさい。おっしゃる意味がよくわからないのですけれど」

「距離をおきたいのです」

「美琴様っ! わたくしのことが嫌いになったのですか! わたくしは美琴様と一緒でないと生きていくことができませんわ! 悪いところがあるのでしたら可能なかぎりなおします。ですから、どうか別居だけは!」


涙を流して膝をついて懇願するムースに美琴は穏やかな声で言った。


「わたしは決してムースさんを嫌いになったわけではありません。けれど、今のままではお互いが依存しすぎてダメになってしまうと思ったのです。何事もそうですが、近すぎると問題が起きてしまうものですから。ですからそうならないように少しだけ距離をおいた方が、お互いも今以上に仲良くなれるかな、と考えたんです」

「美琴様……そう、ですわね。少しだけ離れてみるのもいいかもしれませんわ!」


ムースはしぶしぶといった体で頷いてぎこちない笑みを浮かべたものの、声には元気がなく、両肩を落として明らかに落ち込んでいる。

長いため息を吐いてトボトボと自室へ行ったムースは大好きな美琴との別れの寂しさのあまり、ベッドにダイブし枕にうつ伏せになると号泣するのだった。


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