赤頭巾文学

 愛くるしくて、心が優しくて、すべて美徳ばかりで悪さというものが何もない可憐な少女が、森のお婆さんの病気を見舞に行って、お婆さんに化けている狼にムシャムシャ食べられてしまう。この物語は非常にモラルがない。

 童話とは棘のない、丸く優しい文学であるべきなのに、何故、救いのないような、悲しくて棘のある童話が評価されたのか。

 俺に伝えてくれる宝石のような冷たさは、なにか、絶対の孤独、「生存」、それ自体が孕んでいる絶対の孤独、そのようなものではないか。

 生きたいと思える人間の生存本能を燻る童話を、今後も見ていきたいと思った。

 

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