ちょっと書いてみて色々決めよう!

カメラワークは?

 さて、大枠の話と設定が出来たので、ちょっと書いてみましょう。先走って書いた人も、見直したり、続きを書いたりしてみましょう。


 ここで大事なものとしてカメラワーク、小説の言葉で言うがあります。


 よく使われるもので、一人称、三人称、三人称一元、神の視点。

 あまり使われず、ちゃんと面白くするのが難しい二人称。


 カクヨムでも綺麗な説明をしている人が沢山いるのであまり書きませんが、例えば冒険者のルッツ君が港の倉庫にある物を取りに行き、事前に聞いた情報と違って強敵が現場にいた場合、


一人称:

 倉庫の前にいるのは、何度見直しても重装備のオークの群れ。私が来るとわかっていたかのように、ご丁寧に見張りまで立てて待ち構えている。

 こんな話は聞いていない。

 情報屋が間違えたのか、それとも、金で嘘を吐いたのか。

 何度悪態をついても足りないが、それで事態が良くなるわけでもない――私は自分にそう言い聞かせ、音を立てずに剣を抜く。


三人称:

 ルッツの予想に反して、 倉庫の前には重装備のオークの群れがたむろしていた。各方角に歩哨ほしょうを立て、待ち伏せの体制を整えている。

 情報屋が間違えたのか、それとも金で嘘を吐いたのかを知る術は無い。彼は小さくため息をつき、静かに剣を引き抜いた。


となりますが、ここで特に注目してほしいのは、“こんな話は聞いていない”以降の部分です。

 一人称はルッツ君視点なので独白できます。

 “こんな話は聞いていない”という、心の声が許されます。

 しかし、実際に声は出していないので、三人称視点ではため息を小さくつくだけです。

 倉庫の前のオークも、一人称ではルッツ君から見た書き方しか出来ませんが、三人称では俯瞰していて、カメラの置き場は自由です。


 とても便利なのが三人称一元、私も好きなのですが、その場面の一人にカメラがべったりくっついて、その一人の心の声は拾えます。

 なので、


三人称一元:

 ルッツの予想に反して、 倉庫の前には重装備のオークの群れがたむろしていた。各方角に歩哨ほしょうを立て、待ち伏せの体制を整えている。

 クソ、こんな話は聞いていない。

 情報屋が間違えたのか、それとも、金で嘘を吐いたのか。

 何度悪態をついても足りないが、それで事態が良くなるわけでもない――

 彼は己にそう言い聞かせ、音を立てずに剣を抜く。


これが許されます。


 神の視点はこれにさらに別の人物の視点を入れたり出来るのですが、あまりに煩雑になるので私は書けません。


 二人称はに呼びかけるような形式で、アドベンチャーノベルなんかを作るのであれば良いと思いますが、面白くするのは難しいです。

 例えば、


二人称:

 おっと……あれは、オークの群れだ。凄い装備だね。見張りまで立てて、まるで待ち伏せしてるみたい。

 君、騙されちゃったかな?

 まあ、ここでブツブツ言ってても仕方がないからね。さ、剣を抜いて。


とかでしょうか。


 何が良いとか偉いとかはないのですが、あなたが何を見せたいのか? によって、書きやすい視点があると思います。


 同じ魔王を倒す話でも、少人数の勇者パーティーを主役に立てて語るのと、王国軍を動かすのではまた違います。


 四人ぐらいのパーティの長い旅路を描く。

 それもダンジョンや古城のような、罠やら天井からいきなり襲いかかってくる敵やらの演出がしやすい舞台であれば、一人称でかなり緊迫感のある文章が書けます。

 また、登場人物の繊細な心の動きや苦悩を前面に押し出すなら、一人称の方が簡単です。三人称でも出来ますが、それは文学の域に達します。


 逆に、軍勢レベルの複雑な機動や大規模な戦闘、あるいは高官達の謀略を描きたいなら、一人称からの視点だけでは表現しきれない部分が多いです。


 基本的には書きやすい視点で書く! が一番ですが、あなたがウリにしたいものは何か? というのも、一つの判断基準になります。


 ちなみに、私が今書いてる現代ファンタジーでは、基本一人称、大掛かりな戦闘シーンは場面を区切って三人称という、なんとも小狡いことをしています。





※ちなみにこれです

※くっ、殺せ!

https://kakuyomu.jp/works/16817330664360063701

 

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