実現に必要な設定を作ろう!
作り込むのと盛りすぎるのは違います
ざっくりとしたキャラとストーリーが出来ているはずなので、書きたい話を書くために、必要な設定を作り込んでいきましょう。
設定大好きな人は真骨頂、面倒に思う人は、やや辛くなる所です。
私は設定作るの結構好きなんですが、嫌いな人がいるのもわかります。
別に美男美女がキャッキャするのは絶対王政でも封建制でも出来ることだし、勇者が振り回す剣が鋼鉄か青銅かなんて些末な問題だし、権力を振りかざす嫌な軍人が騎士団長だろうが大隊長だろうが、どうでもいいかもしれません。
魔法使いは何でも出来る。
別にいいじゃん、と思うかもしれません。
ましてや、使うお金が金貨なのか紙幣なのか、庶民はどれぐらいの頻度で肉を食べられるのか、機械工学はどの程度のレベルなのか、なんて聞かれた日には、うるせぇ! と言いたくなるかもしれません。
しかしです。
設定はリアリティをもたらすだけでなく、上手く話を作るための適切な制約を生みます。
例えばですが、魔王も殺せるすんごい魔法があるけど、その発動には最愛の人の命を捧げる必要がある――
この制約があれば、真面目に書けば普通に感動的なラストになりそうです。
クセのあるのがよければ?
A.その最強の魔法を使える魔法使いは超人見知りの変人、魔法が恋人タイプで、まず人を好きになる所から始める話。
B.まさか恋人の命を捧げるわけにはいかないので、なんとかして魔王との和平を模索する話。
C.魔法使いが腹をくくって恋人を生け贄にしたのに、なんと魔法が発動しなかった! 問い詰めてみたら魔法使いが浮気していたので、キレた恋人が魔王と共に世界を滅ぼす旅に出る話。
D.時間軸をガッと変えて、魔王が倒された後の時代。魔法史の研究者が過去に魔王を倒した魔法が何なのか解き明かす物語。どうやら最愛の人を生け贄にする魔法らしいが、生け贄に関する記録が無い。研究が進む内に魔法使い自らが生け贄になったことがわかり、え? 極度の自己愛? うわぁ気持ち悪いってなる話。
いや、出るわ出るわ。
これが制約の力、ひいては設定の力です。
うっすらと世界観を決めて、なんとなく話は作ってみたけどパットしない……こういう時に、設定をしっかり作ってみると、こうしたらもっと面白いかも? と連鎖的にお話のアイディアも膨らんでいきます。
結果としてさっき作ったストーリーが跡形も無くなるかもしれませんが、それも見越してのクソゆるプロットです。
鶏肉と卵でオムライスを作ろうと思ったけど、やっぱり親子丼にした。
何の問題もありません。ケチャップは捨てられるわけではなく、他で使えばいいのです。
というわけですので、設定は可能な限り作り込みましょう。さっきまではクソゆるとか言ってましたが、これでクソゆる卒業です。
さて、設定を作り込んでねと言った口でなんですが、設定の盛り過ぎには気をつけましょう。
深く掘り進む方向にはどんどんやればいいのですが、いわゆるキャラに属性つけすぎの状態になると、何の要素も引き立たない凡庸なキャラになってしまいます。
何より、設定を表現することにエネルギーと文字数を使いすぎて、他の要素を作り込めないまま話が展開します。
横には広げすぎず、あくまで掘り進めるようにしましょう。
作り込みが進まない?
そういう時は、モチーフにした文化や時代のことを調べてみましょう。ファンタジー作品というのは大体そうやって出来ています。
クソゆるプロットの段階で細かく妄想してねと言ったのは、ここに繋がります。
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