34話 同様にして
「……ってことがあったのよ。そのあとはその子が門番を説得して村に入れたってわけ」
僕らは砂利道に揺らされ、鉱山の麓の町まで向かっていた。
「……本当にごめん!!!」
「全く!ラミィがいなかったらどうなってたことやら」
「まぁまぁリンネさん……」
帆馬車の中で、怒るリンネと謝る僕と仲裁に回るラミィに
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リンネの説教が終わった後、僕は冒険者ギルドで話し合った(一方的だった気もするが)内容を二人に伝える。
「……なるほどね、私たち精霊を貶めようとしている”黒幕”がいるってことね」
リンネからは当事者としての感想が返ってくる
「その方の言う通り、黒幕のやり方が回りくどいというか……徹底的ですね」
ラミィはギルマスと同じ様に感じたらしい。
「で、これに僕らは協力することになったんだけど……いいか?」
僕一人が身勝手に決めたことだ、了承も得ずに二人に押し付けるわけにはいかない。
「別にいいわよ。」
まず、リンネが答える。まあこの件はリンネの復讐の件に深くかかわっているから、否定はしないだろうと思っていた。問題はラミィだ、この件はラミィからしたら面倒ごとでしかない。
ラミィは何か考え込んでいるようだ。もしラミィが首を(首は明確にはないが)横に振るなら、僕はこの依頼の後に断りに行こうと思う。
「……いいですよ」
意外にも、その長考から導き出されたのは簡潔な賛同の意だった。
「ありがとう」
正直、ラミィが僕に付いてくるメリットも義理もないだろう、しかし、出会った頃からこうして僕の我儘に付き合ってくれるのは本当にありがたい。
「『僕の我儘に付き合ってくれてありがたい。』とか思ってますね?」
ラミィが僕の思っていたことをほぼそのまま諳んずる。
「え?」
なんだ?相手の思考を読み取れる魔法でも覚えたのか?
「
「そうなのか?」
「はい」
ラミィは即答だった。リンネの方に視線を向けると、肩をすくめて首を横に振った。いやこれが普通の反応なのだろう。それを認識すると、余計にラミィに対して景仰と愛しさを覚えた。
「
「……ありがとう。ラミィ」
「いえいえ~」
帆馬車に揺られて、大きな重荷が外れたかの様に気が楽になったトミイクであった。
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そこは洞窟の最深部。幾つかの人影が光り輝く無数の鉱石によって鮮やかな洞窟壁画となっている。
「人間側に動きがあった。恐らく戦える奴らを用意したのだろう」
「ああ、ここを荒らしに来てた
「なに、臆することは無い、儂らはこの
トミイクたちの向かう場所には、人間に憎悪を募らせる幾つかの精霊がいた。
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