17話 依頼をはじめましょう

 町から離れて洞窟の入り口に付く頃には、すでに天日は南中していた。


 その少し前、洞窟に着くまでの道中でラミィになぜギルドではカードが正しく機能しなかったのか聞くと。


(赤裸々に他人にステータスを教える利益がないので、鑑定機能を妨害しておきました。即興だったので一部しかできませんでしたが…あっ、その関係でトミイクさんのカードも一部の表記が誤っていたと思います。)


 と答えてくれた。


 すごいな~と思う反面、今後はカードの機能を妨害できる相手が出てきたら、警戒を強めようと思った。


 閑話休題


 早速、洞窟内に入る。入り口は、人が5人ほど横になれるくらいの大きさで、奥は松明先人達の道標によって等間隔に照らされていた。


 今回の依頼は、洞窟内の開拓だが、既にここの洞窟はほとんどが探索済と"言われている"ので、洞窟内の道を大外回りに一週して、これまでに探索された道の記されている地図に端の方の細かい道を新しく描けば終わりだ。


 比較的安全な依頼だが、面倒な依頼でもあるので、これまで誰も受けなかったのである。


 一応、洞窟内に魔物は発生するが…


「よし、右の壁に沿って歩いていくか。」


「ええ(はい)」


 このときは、日が落ちるまでには依頼は終わるだろうとおもっていた。


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 だいたいの描かれていなかった道は、行き止まりか、他の道に出るかの2択だった。


 けれど、13回目の新たな道に入り進み続けているが、終わりが見えないでいる。一本道なのに。


 妙な胸騒ぎがする。


「ねえ、一旦引き返したほうが良いんじゃない?」


 リンネが提案する。


「確かにここまで長いと、不気味さを感じるよな。この洞窟は殆どが探索済と言われているんだけど…」


 そういえば、この直線に入ってから、新しく魔物と出会っていない。


(トミイクさん、地図をみてください。)


 ラミィに言われた通り、これまで描いた地図を見る。


(似た形の道が繰り返されていないですか?)


 

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