9話 されど空の青さを知る

 普通、Fランクの冒険者がDランクの魔物に出会ったら、死の一択しか残されていないだろう。しかし、それでもなんだか勝てる気がした。トレーニングのせいで自身でも付いたのだろうか?


「さあ、行くぞ!」


「ええ!」


(頑張ります!)


 オーシャンウィーゼルは全身が鱗でおおわれていて、水掻きのある足を持ったいたちと言うと想像しやすいだろうか。


 オーシャンウィーゼルは厄介な相手で弱点が無いことが特徴だ。そのせいで、Dランクでも強い部類に入る。


 力と力のぶつかり合いに勝たなければいけない。


 


 「○◇+☆△■※!」


 オーシャンウィーゼルが金属音のような鳴き声で威嚇しながら陸地にあがってくる。


 すごい威圧感だ。もはやCランクではないか?


 ただ、力とは必ずしも個の質とは限らない。


 「あああぁぁぁぁぁぁぁ!」大声を出しながら。オーシャンウィーゼルの正面に駆け出す。


 一方で、ウィーゼルは身を屈めていつでも獲物に齧り付けるようにしている。


 注意が完全に僕に向いたその時、走った勢いのまま、足元の砂を蹴り上げる。そして直ぐに後ろに退く。


 僕の本いた場所にウィーゼルが齧り付く、しかしそこには僕はいない。代わりに大量の砂が降り注ぐ。


 ウィーゼルは声にならない叫び声をあげながら、目を押さえ、暴れる。


 「今だ!」


 僕が合図すると、左右にいた二人がウィーゼルの意識の外から強烈な一撃を叩き込む。


 「…やったか?」


 それから、オーシャンウィーゼルは起き上がることはなかった。


 (やりましたね!トミイクさん!)


 ラミィが素直に喜ぶ。


 「あたしが入れば楽勝だな。……………」


 リンネは意地っ張りなところがあるのか?


 「リンネ、最後の方が聞こえなかったけどなんて言ったんだ?」


 「なっ、何でもないわよ。」


 どうしたのだろうか?まあいいか。


「って、シーラビット一匹も見てない!」


 こうして、トミイクは2回連続依頼失敗となり、罰金が膨らんだとさ……ってどうしてこうなるんだよぉぉぉぉぉ!


 

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