7話 命名

 宿に戻ったら「名前をつけてほしいんだって。」とリトルオーガの少女がスモールレッサースライムの通訳をしてくれた。確かに名前ないのはさびしいよな、ということで名前をつける。まぁ、ぱっと思いついたやつだけどね。


「スモールレッサースライム改め『ラミィ』なんてどうかな?」


 すると、嬉しそうに体をぷるぷる震わせた。その時、ラミィとの繋がりが強くなった。心なしか、"ラミィ自身が"強くなっているようにも見える。


(これからもよろしくお願いします。トミイクさん。)


 …びっくりした!


 いきなり喋り…脳に直接語りかけてきてる⁉念話とか言うやつかな?


 「あっ、私は自分の名前があるから新しくつけなくていいわよ。自己紹介が遅れてごめんなさいね。私は『リンネ』よ。」


 『リンネ』か、いい名前だと思う。


「二人とも。改めて、よろしく!」


(はい!)


「よろしくな!」


──────────────────────


 その後、僕らはギルドにて新しくFランクの依頼を受注した。




 Fランク『シーラビットの討伐』




 シーラビットは海岸とその近くの浅瀬に住む魔物だ。ほどほどの跳躍力とまあまあな聴覚を持っている。しかしどちらも脅威にはなり得ないため、Fランクの依頼になっている。ただ、こいつらは戦い方がとても厄介で。陸にいる冒険者を海からヒット&アウェイ戦法でチマチマと攻撃をしてくる。そのため、Fランクの中でも最難関の一角と言われているらしい。


 だか、僕らなら大丈夫だと思った。なぜなら…見てしまったからだ。


 二人の圧倒的(?)なステータスを。

──────────────────────


スモールレッサースライム【G+α】『ラミィ』


生命力【E】

魔力量【G】

平均攻撃力【D】

平均防御力【G】

持久力【D】

俊敏性【E】

幸運度【A】

知力【D】


──────────────────────


リトルオーガ【E++】『リンネ』


生命力【E】

魔力量【G】

平均攻撃力【B】

平均防御力【F】

持久力【E】

俊敏性【C】

幸運度【E】

知力【E】


──────────────────────────────────────

 トレーニングの成果がでたかどうかは、トレーニングをする前に冒険者カードで二人のステータスを確認しなかったため、わからないが。ステータスが偏り過ぎていることはわかる。


 まずラミィだが、平均攻撃力と持久力と知力が異様に高い。ランクを二つも飛ばして、高くなっている。さらに幸運度がAランクになっている。


 幸運度はほとんどの生物や魔物は生涯変わらないと言われているので、トレーニングは関係ない。ただ、高い幸運度を持つ人は、冒険者よりも商売や政治の世界で成功していることが多い、逆に戦闘を生業にしている人で成功例は少ない。


 次に、リンネだが、平均攻撃力がBランクになっている。もはや異常だ。俊敏性も高いが、平均攻撃力が高すぎて霞んで見えてしまう。


 特に訓練をしていない健康なおとながGランクなので、Bランクとなると、人間の場合、素手で大木に穴を開けられるレベルだ。


 ただ、二人とも平均防御力が低めのため、これからの戦闘では気を配る必要があるな。




 …ランク分類の表記がおかしいのは気のせいだろう。


 さあ、名前をつけて(ラミィだけだが)から初めての依頼だ、頑張ろう!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る