回復

「おはよう、もう良くなった?」

「あ、うん。だいぶマシになってきた……」


 ゴシゴシと便器をブラシで擦りながら、こちらを振り向く主人。手に持っているのはサンポール。どうやら主人はハイターではなく、サンポール派らしい。


 ……って、そんな事はどうでも良い! 何故、主人が便器をピカピカに磨いているのだ!?


「ちょおいっ! 私、ノロウィルスにかかったんだよ!? 掃除は私がするよ!」


 私は焦りながら言う。「大丈夫大丈夫、移らないから」そう言って、主人は笑いながら便器をゴシゴシと擦り続けている。


「どっこらしょっと。少し食べれそうか? そろそろ食べれるかと思って、雑炊用意してるんだけど……」


 ジャーッとトイレの水を流し、ブラシを所定の位置にしまった主人はキッチンに向かって歩いていく。その後ろをついていくと、ふわりとカニ雑炊の香りがしてきた。


「……いい匂い」

「だろ。三日間まともに食べてないんだから、少しで良いから食べな」


 そう――。私はノロウィルスにかかってから、三日間も寝込んでしまっていた。その間、高熱が続き、激しい下痢と吐き気に襲われていたのだ。


 できれば、もう二度とノロウィルスにはかかりたくない。しかしそんな経験をしたにも関わらず、今でも牡蠣は大好きだ。


 その証拠に一週間後、主人が回転寿司を食べたいと言い出し、私はドキドキしながら牡蠣の寿司を食べた。(←おい)茹でていたとはいえ、牡蠣を食べるのを少し躊躇ってしまった。


 今回、たまたま私だけがあたってしまっただけだろうが、皆さんもくれぐれも気を付けて欲しい。生物を食べる時は自己責任で!


 とりあえず……主人がノロウィルスに罹らなくて良かったーーーーーー!!


(おしまい)

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