第2話
「あぁ、やっぱり異世界だったか」
美女からの突然の質問に妙に得心してしまった。まあ、そんな所だとは思ってた。此処の景色は俺の想像してた天国や地獄ってよりどっかの山奥に迷い込んだって感じだからな。
「余り驚いていないですね?」
「まあ、考える時間が沢山ありましたから」
少し怪訝そうに聞かれてしまったけど仕方がない。何せここで周りの景色を眺めながら飽きるほど自分の境遇を考えて暇を潰してたんだから。
それに自分が死んで更に見知らぬ山奥に身動きとれず放置され、極めつけに彼女に出会った事に比べたら、異世界だった程度どうでも良い。
それよりもこの人とお近づきになるほうが重要だし、気になることもある。
「あの、何故こんな時間に女性一人で、その上何の装備も無しに、と言いますかドレスで山の中に居るんですか?」
「ああ、月が綺麗だったので少し空を飛んでいたのです。その途中で大きな魔力の歪みを見つけたので、それを解消する為に此処に来ました。
この歪みの大きさから人為的に起こされたものだと思っていましたが、禁術を失敗したせいだったとは」
蒼みを帯びた月の光に照らされ、肩まで伸ばした透き通るような銀色の髪が青く染まり、天色の瞳が物憂げに陰る。
綺麗な人って溜め息をついても絵になるんだなー。
などと思わず現実逃避でなく本気で見入ったせいで思わず聞き流してしまいそうだったけど、歪みやら禁術やらヤバそうなこと言ってないか?
「禁術の失敗って、今俺がここで人魂になっているのはそのせいなんですか?
俺はこれからどうなるんですか?」
「恐らく、貴方は異世界から人を召喚する禁術に巻き込まれたせいでここに来たと思われます。
そして、あなたの今後は私の様に魂に干渉できる化け物か、魔法によって消滅されない限り、永遠にここに居続けることになります。
この世界の魂は生前がどれほどの強者であっても、それこそ『王』と呼ばれる各種族の頂点に君臨する存在だとしても、死んで直ぐに魂は世界に溶けてしまいます。
ですので、この世界の理に恐ろしいほどに反している貴方を吸収しようとする存在なんていません。そして、ここは人間達のように異端の存在を問答無用で消滅させようとする存在もいません。
ですので、どうしてほしいですか?」
「どうしてって何をですか?」
「永遠にこの場所にいるか、私に吸収されるか、魔法で消滅するかをです」
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