第2話


小さい頃、

爪を噛む癖があって

常に深爪だった。


憧れた、

爪の綺麗なスラッとした指。

伸ばそうとしても、

気がつけば噛み砕いて。


そんなある日、

流行病で長期の休みになった。


それを機にセルフだがネイルを始めてみた。


噛み砕くことはなくなったけど、

まだやんわり噛んでしまう。


それでも、

あの時の倍以上伸ばすことが出来た。


いろんな人に褒められる爪。


えぇ。えぇ。

だって頑張って伸ばしたんだもの。

もっと褒めてくださいな。


貴女の爪もとても綺麗。

もっともっと保湿して、

一緒に綺麗になりましょう。



綺麗になった爪。

褒められる爪。

もう恥ずかしくない。



ふと、ネイルをした爪を見た。

綺麗に塗れたものだから、

反射して周りが見える。


ネイルによって、

実際見るよりも、

キラキラと光る世界。


あぁ。

爪に映る世界が恨めしい。


こんなことを思う私が、

どんなに汚いか。

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