第110話 神の裁き

野次で収集が付かなくなる議長はカンカン!と小槌を打ち付けて「静粛に!静粛に!」と言って居るが収まる様子が無い。


埒が明かないのでパパがその場で跪き神に祈る事に。

「おお!神よ!あなたを詐欺師と言い侮辱し神託も無視し罪なきあなたの使徒である私を罪人に仕立て上げようとする愚か者共に罰を与えたまえ!」と大きな声で祈りを捧げた。


静まり返る国会「何も起きないぞ?やはりハッタだ!」と誰かが呟いたがその上空では雲が渦巻きゴロゴロと音を立て始めていた。


外に居た者が異変に気が付く、中継をしていたテレビクルーが撮影を開始する。

国会でパパが祈りを捧げたら国会上空で異変が置き抱いて居ると生中継がされている、テレビ画面は国会内と上空の映像が同時に流れていた。


国会内にも外の様子が伝わり慌てだした議員達だが「室内に居れば安全だろう?」と誰かが発すると落ち着きを取り戻す。


「自分にやましい事が無いのならその場から動かずじっとして居ろ!神はやましい心の持ち主、悪意の在る者しか裁かない!」とパパが叫んだ瞬間に国会議事堂にイカズチが鳴り響き落雷したのだった!


すさまじい音と光で辺りの確認が出来なく成ったパパだったが、神に祈りを捧げて居る姿がテレビには映って居たのだった。


当たりが確認出来るようになり周りを見回すと黒焦げ来なった元議長ほか議員の方々の姿がプスプスと煙を上げてしびれているが生きてはいる様だった、手を上げていた4人の議員だけは無事の様だ。


「この者達は見せしめです!命だけは助けました!

今後同じような事をする者には容赦はしないでしょう!そこのあなた方4人は選ばれた善なるものです!此れからの国の方針は4人で相談して決めなさい!

あと自衛隊の佐々木と言う者が今回の騒動で罷免されたようです、民の為を思って一生懸命、今回の騒動を回避しようと頑張って居た者です。

彼が居たからこそ被害が少なく収まったのです。

彼の尽力が無ければ大災害に成って居た事でしょう!そのような功労者を排除するとはあまりにも愚かな行為です、彼を呼び戻し困ったことが有れば頼りなさい!私も彼の言葉なら信じます!

できうる限りの協力は致しましょう!今この時から民を思い行動する者の足を引っ張り邪魔をしようとする者には神の裁きが降ると胸に刻みなさい!」

そう言うとパパはばたりとその場で倒れてしまった。


荒井さんが慌てて中に入って来てパパを抱えて出て行く姿がテレビ中継されて居たのだった。


中継を見ていた家族

おと 「パパ変なしゃべり方だったね、倒れちゃったけど大丈夫かな?」

ママ 「雷が落ちてから別人見たいに成ってたわね?荒井さんが居たから問題無いと思うのだけど心配だわ!」


さき 「あのしゃべり方神様にそっくりだった気がする、きっと乗り移って神様が話して居たんじゃ無いかな?」


ママ「ゆきに頼んでパパ迎えに行かなくては!何かあったら大変だわ!」と外に駆けて行ってしまった。


テレビの中では神のイカズチをその目で見てもまだ信じられないと言ったような言葉が聞こえて来ていた。


普通の雷ならば国会議事堂なら避雷針で建物の中までは被害は無いはずだあれは本当に神の裁きが与えられたのでは?

我々は此れからいったいどうすれば良いのかと。

あの男性は本当に神の使いでは?とまだそんな事を言って居るのだった。


日本以外の国では魔物被害は甚大な物に成った。

全く準備しておらず軍が出て鎮圧するまでに甚大な被害が出ている。


その事を受け今回の日本の中継に少なからず各国が注目して居たのだった。

その中継で男性が神に祈るとイカズチがさく裂したのだ。

建物を貫通し中の人を黒焦げに、だが中に居た5人だけは無事だった、周りの者が黒焦げなのにだ。

一部の者はあの男性が神そのものだ!神に従うべし!との声が徐々に上がりだし過激に成って行く者、静かに信仰して結界に向かう者、苦々しく思い何かを企む者など様々な反応だ。


結界に入れた者が徐々に日本に向かい家族の元に人が集まりだすきっかけと成った。


しかし人々が動くのは遅かった、既に2週間も手を打って居なかったのだ、徐々に精密機械に不具合が発生しだし魔物も姿を現しだす、3週間を過ぎると飛行機は飛べなくなり船もコンピューター制御の物がほとんどで航海も難しく成る。

少しずつ世界に影響が出始めて移動や通信が困難になりつつあった。


そうなって来ると日本では燃料が不足し食料も不足しだす、買い込みに走る人々だが多少買い込みした程度では解決には成らない、市場に出回る食料が尽きてしまうだろう、そうなれば後は死を待つのみに成ってしまうのだ。


政府ではあの後4人の政治家が中心となり必死に運営をして居た、政府関係者の官僚たちも非常に強力的に成ったのっだ、皆神の裁きを恐れて反抗はしなかった。


佐々木を自衛隊のトップに据えて協力を仰ぎ、助言も有って国を挙げて食料をで可能な限り輸入し買い込み民間企業に協力をさせ保存食を大量生産した、倉庫には食料が溢れていた。


電気も其うち使えなくなる事を念頭に置きパパに相談するとボブに食料保存用の魔道具を大量に作らせて配布した。

その成果も有って国民に食料を配布しても何とか半年は持ちこたえる、との事だったその間に出来る限りの開墾をし食料自給率を上げる努力をする。

精密機械に頼らない昔ながらの自動車、飛行機、船の開発、現在ある物を改造して使える様にする事を国を挙げて行ったのだ、この事により他の世界よりは断然に被害を抑えて4週間目を迎える事が出来た日本だったが融合してしまえばどうなるかは全くの未知数だった。


時は戻りゆきにまたがりパパを迎えに東京に向かうママ、事前にボブにユキに乗れるようにと背中に箱型の鞍の様な物を作ってもらっていたのが功を奏した、5人位は余裕で乗れる広さで寛げる感じの物だ。

ママ 「ゆきパパの居る場所分かる?」

完全に後先考えずに飛び出てしまったママこっちが東京だと言う方向には飛んでいるのだがママの感でしかない、ゆきもパパの場所を聞かれて困惑気味だ。


その時、救世主現る!すずちゃんがママの元に現れて「何処に向かってい居るのか?」と聞く「パパの元にいくのよ?」とママが言うとチョットびっくりしたすずはパパの気配は逆だと背中の方を指し示す。


まったく見当違いの方向に向かって居たママだった。

「あれおかしいわね?左手に富士山見ながら進めば東京だと思ったのに」と呟いて居るママ、愛知から新幹線で東京に行く確かにそうだが、富士山の北側と南側では全くの反対に成るよね…方向音痴なママに呆れるゆきとすずだった。

「ありがとうすず!これでパパを迎えに行けるわと」と嬉しそうなママを見て自分達も嬉しくなる2匹なのだった。


暫くすずの案内で飛んでいるとこの建物の中にパパに気配がする!とすずに言われ上空で建物を見つめる、自衛隊員が気が付き上空を見つめて慌てて居るのが分かる、どうしようか悩んでいると屋上に見た事のある人が出て来て指示を出しているようだった。

「荒井さんかしら?ゆきすこしずつ降りてくれる?」とお願いすると徐々に高度を下げていく、荒井さんの声が聞こえる所まで高度を下げる。


ママ 「荒井さんうちの旦那様は無事なのかしら?」

荒井 「意識を失いまだ寝ておられるようです、あれから意識は戻っておりません」

ママ 「ユキを降ろしても良いかしら?」

荒井 「大丈夫です部下には攻撃は禁止と伝えております!」


ママが屋上のヘリポートに降りる様に合図をするとユキがユックリと降り立つのだった。


荒井 「しかし実際に飛んでいる姿は感動ものですな!もし敵対したと思ったら恐怖しかありませんが」


ママ 「敵対しない事をお勧めするわ、怒らせないでね!」

荒井 「それはもちろんです!徹底させます!」

ママ 「パパの所に案内していただけますか?」

荒井 「は!こちらです!」と先導する荒井の後について行く、部屋の前に立つと「此方に成ります」と言って扉を開けてくれたので中に入る。

ベットに寝かされてているパパを見るとスヤスヤと寝息を立てていた、寝て居るだけの様でホッとするママだった。


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