第108話 世界を襲った異変

パパ達が地球に来てから1週間が過ぎた頃、世界各地に結界が現れて各国は任意で試すことが推進された。

各国の軍人や政治家が初めに試すが中々入れるものが居なかった。

日本人を差別し馬鹿にする者はもちろん宗教関係者の殆どが話を信じていないので入る事は出来なかったのだ。


結界が出来た事は無かったかのように、自分達の神を信じる者達が連日カメラの前で叫んでいた、『神への冒涜だ!許す事は出来ない』やら『邪神の類だ悪魔の使いだ信じてはいけない!あの結界に入れば地獄に落ちる』と言い続けていた。


若者が度胸試しや興味本位で結界に入れるか試す者がいる位で全世界で結界に入り尚且つ日本に来たものは千人もいなかった。


日本だけがまだましな状態で結界に入れた者が1万人を超えたと言って徐々にではあるが市民の姿がパパ達の拠点の中にも表れ始めた。


だがパパが職を与えて居るのは一日20人ほどしかいない、1週間でやっと140人初めに100ほど一気に与えたのを合わせても300人にも満たない状況だった。


初めに職を与えた100名は日本各地の自衛隊駐屯地に配属されて行った様だ、パパのアドバイスを受けて5人一組でチームを組み安全のため10人以下に成らない様に手配されている。

職を得た者は一週間はここで訓練をする事が義務とされ市民の中にはそんなに会社休めないと諦める者がほとんどだ。


そんな時を過ごしていたある日、朝もやが掛かる街並みの中通勤し始める人々、神託が有ってから世界では何も起きていないのでいつしか異世界の話も少しずつされなくなってきた、やはり詐欺だったと言う者が増え始めて来た頃の早朝にそれは突然起こった。


スライム、コブリン、ウルフ、アント、ビーン等の異世界では下級と言われる魔物が突如として現れ人々を襲いだしたのだった。


町は混乱し至る所で悲鳴が聞こえだした、朝のニュースでは『家から出ないでください!戸締りはしっかりしてください!外に居る人は速やかに丈夫な建物に避難して身を隠してください!』と女性アナウンサーが繰り返している。


パパ達家族はそのテレビを見ていた。

パパ 「とうとう始まったか…」

ママ 「どうなってしまうのかしらね」

おと 「じいじ達も結局来なかったね」

パパ 「そうだなあっちは外に出るとマスコミが殺到して出れる状況じゃ無かったみたいだけどな、結界も試せて居ないみたいだ」


さき 「自衛隊の人に此処まで連れて来てもらったら?」

ママ 「それでもし入れなかったらどうするの?」

パパ 「結界位は試さんと行けないよな、食料なんかは自衛隊から支給されている見たいだから問題無いみたいだしな」


おと 「でも危険だよね?助けには行かないの?」

パパ 「もう少し世が混乱すれば自由に移動できる様に成るだろうからなそれまでは家で引きこもってもらう事にしたんだ」


ほし 「もう少しってどれ位?」

ママ 「そうね~あと2週間すれば完全に融合する見たいだからその後かな」

パパ 「そうだな、そうなればワイ子もグリもフォンもこっちに来るからな迎えに行けるように成る」

おと 「迎えに行って結界に入れなかったらどうするの?」

ママ 「そうなったら結界の外の塀の中に家を作って住んでもらいましょうか」

パパ 「まあそこなら安全だろう、まりもやゴンに守って貰えるしユキが居るから魔物も寄って来ないだろうからな」

ママ 「駐屯地はどうする?まりも達に守らせる?」

パパ 「あっちは良いよ、駐屯地が襲われたら教えて暮れるように頼んどいて間違ってまりもやゴン達が攻撃されるかもしれんからな」


ピンポーンとベルが鳴った!『又神様が来た?』と皆が思ったが佐々木さんだった。


パパが対応して外に出て行ってしまった。


佐々木 「とうとう始まってしまいました、自衛隊が出動して対応しております、重火器が聞かない魔物が出た場合だけ職を得た者達が対応する事に成って居ます」


パパ 「今の所はそれで良いだろうか、こっちにLvは無さそうだからな弱い魔物である程度慣れさせていくのも良いと思うがな」


佐々木 「それもそうですね!10名づつ配置しております、1パーティーずつ戦わせて行く事に致します!アドバイスありがとうございます!」


後ろに控えている者が何処かに連絡を入れていた今の事を伝えたのだろう。


佐々木 「幕僚長が山内様とお話がしたいと言われて居るのですがお願いできませんか?」


パパ  「階級が良く分かって居ないのだが陸上自衛隊で一番偉い人なのか?」

佐々木 「陸海空すべてのトップですねその下の将官が一名ずつ各自衛隊の責任者を務めておりますね」

パパ  「佐々木さんの上の陸上自衛隊の責任者は将官がいるのか?その上に幕僚長?であって居るのか?」

佐々木 「そのような認識であっております、私の一等陸佐と言う階級は地方の司令長官位だと思って頂ければ良いです、私は今回結界に入れたことによりここの責任者となっております」


パパ  「他のお偉いさんは結界に入れなかったのか?」

佐々木 「そうですね…残念ながら陸海空を始めとした幹部で結界に入れた者は私一人と聞いております」


佐々木は残念そうにそう答えパパに「申し訳ありません」と呟いたのだった。


パパ 「幕僚長とやらも入れなかったと…なら此方は話す必要は無いな結界に入れた者としか話すつもりは無いと伝えてくれて良いぞ!もちろん中に入れた者には誠意をもって対応すると」


佐々木 「それは困りましたな…」と苦笑いをこぼす佐々木さんだった。


パパ  「あんたは板挟みで辛いだろうがな、此ればっかりは譲れないんだ首相だろうが大統領だろうが結界内に入れない者との時間を割く事は無いよ」


佐々木 「私は上に言われれば山内様に要請しなければ行けませんが…」

パパ  「その要請次第だな!無茶な事には協力はしないし下手したらイカズチ落ちるかも知れんぞ?ちゃんとビデオ見せたか?」


佐々木 「その事をすっかり忘れておりました!上にも厳重に注意しておきます!」

パパ  「話をしたいって何の話をしたいんだろうな?佐々木さんで十分だろう?」

佐々木 「世間へのアピールです…自衛隊はしっかりやって居ると今回の騒動の責任を擦り付けたいだけかもしれませんが…」


パパ 「神様のイカズチが落ちるのはどこぞの宗教関係者かと思ったが日本が一番最初に成るかも知れんな…あのビデオは公開して居るよな?」


佐々木 「民間でも繰り返し流れていますね、全世界に公開いたしましたので」

パパ  「その幕僚長とやらに忠告だけは居れておいてあげてな…」

佐々木 「分かりました、此れから行ってまいります!」

パパ  「佐々木さんには苦労を掛けるな落ち着いたらゆっくりと酒でも飲もうドワーフ達に取って置きのを出させるよ」


佐々木 「それは楽しみにしておきます!ではまた何かありましたら報告しにまいります!」と佐々木は敬礼して帰って行った、何だか佐々木さんの上司に成った気分に成ってしまったパパだった。


家に帰りテレビを見ている家族の元に戻る。

テレビ映像では魔物を倒す自衛隊の姿が映し出されていた、残酷な映像が流れます、ご注意下さい!と字幕が出ていた。


襲って来る魔物を撃ち殺す自衛隊員の横で剣で相手にして居る隊員達が映し出された、「あ!あの人達知ってるよ」と音が嬉しそうに言って居た。


パパ 「佐々木さんに弱い魔物から訓練した方が良いって言っておいたんだよ、いきなり強い魔物と戦えって言っても無理が有るからな、それと生き物を剣で切り殺すのにも慣れないとダメだろうしな」


ママ 「そうね~ここで訓練しても人と魔物じゃ全く違うから、私達は生き物殺しても加護の御かげか全然平気だったわね?」


映像では襲ってきている魔物の姿は段々と見られなく成って居た、いきなり町に現れた魔物が人を襲ったのだろう。

パパ 「人里離れた所ではまだ居るんだろうな」

さき 「どんな感じで融合するんだろう?町の有る所に町が重なったら大変だよ?」

おと 「異世界はどれ位の大きさか分からないからどうなんだろうね?」

パパ 「神様が家族に友好的な者達は近くに来るって言ってたよなどれ位近いんだろうな?神様の間隔が分からんから何とも言えんが…」


ママ 「異世界の人も結界に入れる人達は助けるのよね?」

パパ 「皆が皆と言う訳では無いけど出来る限りは助けたいよな」


テレビの中からは又コメンテーターの討論の声が聞こえてくるのだった。

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