第43話 オマエノシワザダタノカ
村には数名の兵士が見張っていたのよさ。
彼等に捕えた盗賊の下っ端連中を引き渡したのだわさ。
「ワウワウ!ワウワウ!」
また、しつこい犬があたしらに付きまとって来たのよさ・・・
「この犬、何か話しをしたいみたいよ。マジョリン。犬の言葉、わかるかしら?」
「犬の言葉なんて、わからな・・・ちょっと待つのよさ」
さっき、廃塔で取って来た魔法の本に、獣の言葉がわかる魔法があったようなきがしたのよさ・・・
一応、記載があって、試してみる事にしたのよさ。
指で対象の犬の頭に魔法陣を描き、自信も四つん這いになって、一言魔法の言葉をつぶやく・・・
「オマエノシワザダタノカ・・・」
すると、犬の言葉がある程度わかるようになるとの事だけどさ・・・
「ハッ、ハッ、・・・・」
「・・・・・」
「・・・・・・・」
「・・・・ほえろよ!」
「キャウーン!(ひえー!)」
あ、本当だ。ちょっとわかったのよさ。
「今、ひえー!って言ったのよさ」
「それは、その魔法を使わなくてもわかるわよ」
「ワウワウ!ワウワウ!(助けて!ボク、元人間!)」
「う~ん・・・助けて、ボク、元々人間だったと言っているのよさ。」
「しかし、犬にされるって、荒ぶる美しい夜の物語の話しみたいですね」
「それは異教徒の物語では?」
「・・・それはいいとして、なんで犬にされているのか聞けるかしら?」
誤魔化したな・・・
「ワウワウ!ワウワウ!(知らん!変な美女!現れた!犬になった!)」
「・・・変な女の人に犬にされた見たいだわさ」
「そうなの?元々、どんな人だったかわかるかしら?」
「ワウワウ!ワウワウ!(ボク!元々!ハンスの息子!)」
「ハンスの息子だそうだわさ」
「ちょっと、村の人達に聞いてみるわ」
メメシアは村人に、ハンスの息子がいたか聞いてみたのよ。
「マジョリン。村にはハンスって名前の人が多くて、特定できないわ。むしろ、ハンスしかいないわ。ハンスの息子もハンスで、その息子もハンスだし、隣人もハンスで、その兄弟もハンスよ」
「もはやハンス村なのよ・・・ハンステンボスなのよさ・・・」
「ワウワウ!ワウワウ!(ケモノのこの姿!早く人間に戻りたい!)」
「早く人間に姿に戻りたいそうなのよさ」
「聖水をかければ治るかもしれませんね」
メメシアは瓶に入った聖水を犬にぶっかけたのよ。
「ぎゃあああああ!(ぎゃあああああ!)」
「ぎゃあああああ!って言ってるのよさ」
「それくらいわかるわよ」
「やったか?!」
「プロテイウス、それは殺したか殺して無いかの時に言う言葉なのよ・・・」
すると、犬は人間の姿に戻ったのよさ。
「あ、も、戻れた・・・!ありがとう!ボクはハンスです!」
「お前もハンスだたのか・・・」
「ボクは夜警をしていました。昨夜、変な蝋燭を持った美女に声をかけられ、何か彼女が魔法の呪文を唱えると、ボクは犬になってしまいました・・・」
「他人の姿を変える魔法、これはかなり高レベルの禁術なのよさ・・・悪魔契約の領域なのだわさ」
「しかし、そんな危険な魔法を使える相手がいるって事は、あの騎士の人達、危険じゃないの?」
「ハレルの言う通りだわさ。でも、何処の洞窟へ向かったかもわからないのよねぇ・・・」
「あの生意気な騎士だ。まあ、鎧も着込んで、それに20人も兵力の増強があるんだろ?それにあの下っ端を見る限り、相手はたいした戦力じゃねえだろう。心配する必要はねえと思うがな」
「そうですね。ですが、何か問題が起こると厄介なので、我々はこの村に滞在しましょう。わたくしは聖水の生成を行います」
「聖水の生成って、どうやるのさ?もしかして、おしっk」
「ブコッロしますよ?」
「ごめんなさいだわさ」
「水を用意し、祈りを捧げます。その後、祝福の塩を水に溶かしまして、再び祈りを捧げます。そうやって作ります」
「そうだったのねぇ・・・そっち方面のは全然知らなかったのよさ・・・」
「ちゃんとそう言う事も学んでくださいね。異端扱いされたくなければですよ」
叱られちゃったのだわさ・・・
その後、村の隅っこに野営をはって、井戸から水を汲んで、それを盃に注ぎ、メメシアは祈祷をはじめたのよさ・・・
野外で聖水を作るとは、妙な光景なんだわさ・・・
メメシアは十字を切って、祈りの言葉を述べ始めるのよさ。
3つの祈りの言葉を述べた後、塩を一つまみ、盃に入れ、再び3つの祈りの言葉を述べたのよさ。
「これで1杯目が出来たわ」
「塩水だわさ・・・」
「狩るぞ!?」
「ごめんなさいだわさ」
村の人から借りた水差しに、出来上がった盃の聖水を注ぐのよさ・・・
「これ、はじめから水差しで聖水作ったほうが早いんじゃないのかねぇ?」
「効力の強い聖水を作るには、この盃分の量を作り続けるのがいいのです」
「面倒な作業なのだわさ・・・」
まあ、実際に効力があるから、何も言えねえのだわさ・・・
地味な作業を黙々と続けるメメシア・・・
ハレルとプロテイウスは剣の練習を始めてるし、あたしゃ暇だったのよさ。
さっきまで犬だったハンスを訪ねてみたのよさ。
「助けて下さってありがとうございます。今、村人達の間で、さらわれた人達を探しに行くか、ここで待っているか話し合っている所です」
「まあ、大人しくしていたほうがいいんじゃないかねぇ・・・騎士が兵連れて討伐に出てるんだわさ。下手に近寄れば、斬られるかもしれないのよさ。戦いスイッチが入った騎士は何でも斬るし、普段からも農民の命を軽視しているのよさ」
「どうしよう・・・居ても立っても居られないって言って、ハンスがハンスとハンスを連れて行ってしまった」
「あんた達、それで誰が誰かわかってるのかねぇ・・・あんた達が一番、魔法的存在だわさ・・・」
「大丈夫だ。ハンスは逃げる事は1人前だし、ハンスは木登りが上手い。いざとなればやり過ごせる。心配なのはハンスだ。あいつは喧嘩っ早いから心配だ」
「誰の事を何と言っているのよさ・・・」
「そうだよな。ハンスはハンスとハンスのニワトリのハンスの所有者がハンスなのか、ハンスなのかで揉めて、中間に入ったハンスがハンスとハンスを殴って、喧嘩両成敗として、結局ハンスはハンスのものになったんだよな」
「え?何?なぞなぞ?それ、なぞかけの話しかねぇ?」
「こういう時は、ビールを飲んで落ち着こう。ハンス!ビールを持ってきてくれ!」
「ハーンス」
「返事がハンス・・・」
村人達はよくわからんけど、ビールを飲み始めたのよさ。
そんで、あたしも1杯、もらう事になっちゃったのよねぇ~。
まあ、社交辞令だわさ~。
「マジョリン!何か賑やかだと思えば、何をしているんですか!」
「メメメメメメメメメメメシアぁ...」
だが、ここでひるんでいてはダメなのよさ。
あくまでも社交辞令なのよさ。
だから、たまには強気で出ないとならないのよさ。
「飲ませろ」
「っ!」
メメシアも強気なあたしに少し驚いたようだったのよさ。
「飲んべぇの人っていつもそうですね・・・!自分の体のこと、なんだとおもってるんですか!?」
おや、形勢逆転かねぇ~・・・
あたしもたまには強気に出て見るものだわさ~。
「禁酒しろ」
「っ!」
メメシアが態度を変えて強気に出てきたのよさ・・・
「僧侶っていつもそうだわさ・・・!飲んべぇのこと、なんだとおもってるんだわさ!?」
するとメメシアは、あたしの目に浮かぶ涙を指でぬぐったのよさ。
そして、すれ違いざまに
「お前を殺す」
デデン!
あたしはこの日、お酒を飲めなかったのよさ・・・
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