#39
1時間後、運を確認すると130になっていた!
元々120に回復してたのだが、ハメられた事・ハゲデブに文句を言われた事、等を不幸だと考えてたら10も増えた。
今回は絶対にハズす訳にはいかない。
死蔵してた『運気底上げのイヤリング』まで装備する事に。
そしたら135にまで上昇! どうやら効果は+5みたいだ。
これで普通の人よりも35も多い状態だ!
会場には結局全員で行く事になった。
護衛だから行くのが当然って言うし、ウエダさんは見たいって言うし。
そうなると奥さんと子供だけ残しておくのも可哀相だって事で。
ブルーとピンクはイエロー家族の警護。俺にはコタニさんが護衛についた。
ホテルで階段の守衛してた兵士さんも、他に3人連れて護衛についてきた。ホテルの配慮だそうだ。
明らかに過剰防衛だと思う。
非常に遺憾だが『帝王』の名、冒険者3人の護衛、兵士4人。うん、過剰防衛です。
この状態で俺に何かするヤツは勇者だわ。すぐに捕まるだろう。
それ以前に、俺の運が作用して何も出来ないだろうけど。
ポチを攫って脅迫? それこそ町を滅ぼしてやる!
会場とは、こないだ宝くじの抽選をした場所だった。
そこへ向かうと、ステージ上にはまたもや巨大なガチャが鎮座していた……。
『対決!帝王VSシキメ(ガチャ店オーナー)』なんて書かれたデカい看板まで設置されてるし。
あのオーナー、シキメって言うんだな。色目って書くのかな? 色魔の方が合ってると思う。
会場は観客で埋め尽くされていた。
シキメのヤツ、入場料を取っているらしい。セコいわ~。
それでもこれだけ入るって事は、俺が勝つのが見たいのか、負けるのが見たいのか……。
俺が入場すると凄い歓声が上がる。
「帝王が来た~!」「今日もまた奇跡が起きるぜ!」「シキメのクソ野郎の悔しがる姿が目に見えるぜ!」
「悔しすぎて痩せるんじゃねぇか?」「いや、ヤケ食いでさらにデブるだろ?」
「所で、帝王の周りに女性が多くね?」「本当だ!」「さすが夜も帝王なだけはあるぜ!」
やはりシキメは人気が無い。大半が俺に勝って欲しいようだ。
ただ! 夜の帝王って言ったヤツ! 顔は覚えたからな! 夜道には気をつけろよ!!
俺がステージに上がると、先にステージ上に居たシキメが席を立った。
無駄に豪華な椅子に座ってやがった。しかももう汗をかいている。何もしてないだろ?!
「ようやく来たか! 逃げなかった事を褒めてやろう!」
「逃げる訳無いだろ?」
「フン! 強がって居られるのも今の内だ!!」
それだけ言うと、シキメはまた椅子に座る。
立ってろよ! だからデブなんだよ!
「は~い! 両者揃ったので、そろそろ始めま~す!」
げっ、またあの時のお姉さんが司会ですか!
「では、ルール説明をしますよ~!
帝王にはシキメさんが用意したガチャを1回だけ回してもらいま~す!
『当たり』が出れば帝王の勝利、『ハズレ』が出ればシキメさんの勝利で~す!
勝者には、敗者に『1つだけ命令出来る権利(拒否権無し)』が与えられま~す!」
おう、エゲつない賞品が出てきたぞ!!
キジマさんの言う通り、賞品の内容を隠してやがった。
まあ普通の人なら、これを聞いたら逃げるよな。
「ガチャの中身ですが、ハズレが50万個入っていま~す!
その中に当たりが5個入ってま~す!まぁこれから入れてもらうんですけど~。
当たる確率は10万分の1で~す!」
本当にエゲつないな!
前回の福田専用ガチャの時は、20万個のハズレと15個の当たりだったので約15000分の1だった。
単純に言っても7倍かよ!
しかも10万分の1と言っても、「50万の内5個」と「10万の内1個」では実際には違う。
確率計算では同じになるが、1回のチャレンジでは全然違うのだ。
なぜならハズレの数が多いから。
例えば5/50と1/10で考えてみよう。
後者は1回でハズレが出る数は9個なのに対し、前者は45個もある。
ギャンブルで言う『当たる確率』は、回数をする事によってその確率に近くなっていくのだ。いわゆる平均値。
『初回で当たる確率』とは違うのだよ。
判りにくい説明だったかな? 有利なのか不利なのか、確率ではなくそういう考え方だと思ってくれ……。
「不正が無いように、まずは『当たり』を双方に確認してもらいま~す!」
そう言ってお姉さんは『当たり』のカプセルを俺達に見せてくる。
確認が終わると、シキメに見せに行った。
そしてそれを4個ガチャの中に投入し、代わりにガチャの中から『ハズレ』を3個持って来た。
「次に『ハズレ』も確認してもらいま~す! 『当たり』と違うか確認してくださいね~。」
ハズレのカプセルは透明で中には何も入っていない。
当たりは金色のカプセルだ。色が違うだけで重さも変わりないと思う。
他人が投入する以上は、重さでしか不正出来ないから重さを調べるのは重要だ。
回転させるから、重たいカプセルほど外周に集まる。
出口が外周にあるので、自動的に重たいカプセルから排出されるハズだ。
「はい、確認も終わりましたので、投入しま~す!」
全てのカプセルがお姉さんの手によって投入された。
「言っておきますが、ガチャの中はこの町にいる大手のオーナーさん10人で確認してま~す!」
なるほど。それなら少しは安心だ。
10人全員がシキメの息のかかった物って事は無いだろう。多分。
ガチャの蓋が閉められ、スイッチを入れると高速回転を始めた。
これが止まれば抽選開始だ。
さ~て、幸運発動だぜ!!
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