#26

すみません、気合入れて「勝負の時間だ!」なんて言って。


気合入れたせいなのか、最初に配られた時点で、ストレートより弱い手が来ませんでした。


つまり配られた時には既に役が出来ている状態……。


1回も手札交換しませんでした。


あぁ、1回だけ全手札を交換してみたら、さらに強い役になりました。


他のプレイヤーは全員テーブルに突っ伏してます……。




チップを数えると、200枚あった。


一人当たり50万も巻き上げてしまった。


ちょっと罪悪感が……いや、俺を帝王呼びするヤツには制裁を!!




「ククク……」




ん? 最初に叫んでいた男が笑い出したぞ?






「ククク、ハハハハ! 想定外ーーーー!!!」




それ、流行ってるのか?!




ここでの勝負は終わってしまったので、他のテーブルを見るがどこも空いていない。


それどころか目が合うとサッと逸らされる……。




「さすが帝王だ!」「ハンパじゃねぇぜ!」「あのテーブルじゃなくて良かった……」「地獄のテーブルだな」


「あのテーブルは伝説になるぜ!」「帝王が座った席だもんな!」「ある意味、あいつら勇者だな!」


「そうだな。無謀な勝負に立ち向かう勇気。正に勇者!!」




たしかにボコボコにしたけどさ、無謀な勝負って言うなよ。


俺も負ける可能性あると思うよ? 俺よりも運が強い人が居れば……。




気づくと、燕尾服を着た人が近くにいた。




「福田様、私、支配人のクメと申します。お見知りおきを。


 すみませんが、今日はお引取りを」




「えっ? えっ? なんで?」




「福田様が不正をしていないのは判っておりますが、あまりに良いカードが集まりすぎていました。


 カードに問題があるのかもしれません。調べる為にも閉店しようと思っております」


「あぁ、そういう事ですか。俺が疑われて無いのなら、良いですよ」


「ありがとうございます。またのお越しをお待ちしております」




厳格な人っぽいな。


今までの支配人とは違う感じだ。眼光が鋭いし、ちょっと怖い。


オーバー○ードに出てくるセバ○みたいだ。






ブルーカンダと合流して店を出た。


さてどうしようか?




「する事無いなら、ガチャの店に行きませんか?」


「コラッ! あんたがしたいだけじゃない!!」


「まぁ、ガチャの店に行っても良いけどさぁ」


「ほら、福田さんもこう言ってるぞ!」


「あまり甘やかさないでください。すぐ調子に乗るんで」




あ~仲良しで良いですね。


羨ましいと恨めしいって言葉、似てるよね……。




ガチャの店まで来ましたが、閉店してました。


そこには張り紙が。


『支配人と店長が緊急入院したので臨時休業します。』


……大変だね。俺のせいじゃないよな?




どうしよう、目的が無くなった。


買い物しようとカンダさんに聞いたけど、この町はギャンブルの店が多いので買い物するなら他の町に行った方が良いそうだ。


稼いでも使えないんじゃ、もう居る意味無いんじゃないか?




「あっ、福田さん! この張り紙見てください!」


「えっ? 何々?」


「この先で宝くじの抽選してるみたいですよ? 持ってましたよね? 宝くじ」


「そういえばガチャで当たったんだったっけ? たしか……115枚あるよ」


「では抽選を見に行くというのはどうでしょうか?」


「そうだね、そうしようか」


「良い景品があると良いですね~」


「魅力的なモノがあると良いな~。それ見てからメシ食って帰ろうか」


「「はい!」」




宝くじか~、どんな感じなんだろうな?

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