#14

家でポチが待ってる。


これだけで、帰る足が早くなるぜ!


なんてウキウキしてたら、背後から声をかけられた。




「おい、お前! ちょっと待ちな!!」




今日は何をして遊ぼうか? ウエダさんの所でボールでも買って「取ってこ~い」ってやるか?




「ちょ、待てよ!!」




いや、それよりもまずしつけか? 喋れるから、頭は良いはず。すぐ覚えるだろうなぁ。




「お前、バカにしてんのか?! 待てって言ってるだろ!!」




お風呂に入れてあげるのもいいなぁ。綺麗にしたら、可愛い+カッコイイになるじゃないか!!




「待てよ! 止まれよ! おい! おい!!」


「……哲司兄ちゃん、呼んでるよ?」




ナミちゃんが俺の手を引いて制してくれた。




「ん? どうした?」


「あの人が、何か、呼んでるよ?」


「そうなの?」




振り返ると、ギルドの入り口に居たヤンキー座りしてた2人組がコッチを見てる。


何故か少し怒ってるようだ。




「何? 何の用? 今急いでるんだけど?」


「すぐに終わるぜ。ちょっとそこの路地まで付き合いな」


「まあすぐ終わるんなら良いけどさ」




ヤンキー冒険者が俺達を挟む形で、家と家の間にある路地に入る。




「で、用って何よ?」


「見てたけどよ、受付でポンと金出してたよな? 少し恵んでくれねぇか? ヘヘヘ」


「何だ、物乞いか~。そんな身なりだと雇ってもらえないよな……。大変だろうけど、これでご飯食べて頑張りな」


「2000円も!! ううぅ、ありがとうごぜぇますだ…………じゃねぇよ!!」


「え~、違うの? ノリツッコミまでしといて。漫才の練習?」


「てめぇ、バカにすんじゃねぇよ!! 金出しなって言ってんだよ!!」




そう言ってノリツッコミヤンキーは腰の剣を抜いた。


どうやら強盗のようだ。


何故のんびりしてるかって?


そりゃ強盗に会うなんて不幸が来たんだから、次は幸運が来るだろうと思ってるからだよ。


『俺もナミちゃんも怪我する事なく、解決しますように』って祈ってれば助かると信じてる。


そうだよね、知らない間に加護を与えたアサイさん&イイクラさん!!




二人の名前を思い出した瞬間、少し笑ってしまった。


それが強盗には気に入らなかったらしい。




「てめぇ……何笑ってやがる!! 少々痛い目みないと判らないらしいな!」




そう宣言すると剣を振り上げる強盗A。


その剣は振り下ろされる事はなかった。


何故なら振り上げた瞬間に、家の屋根の軒先に当たって刺さってしまったから。


結果、非常に間抜けな事になってる。


バカを見る目で強盗Aを見てたら、強盗Bが走ってきた。


強盗Bは路地に誰も来ないように入り口で見張ってたようだ。


だが、コイツの攻撃も当たる事は無かった。


何故なら、目の前で豪快にコケたからだ。


コイツの剣だけが俺の足元に転がってきたので、拾い上げて刃の無い部分で殴ってあげた。


ついでに、強盗Aはいまだに剣を取ろうと必死に腕を上げてたので、がら空きの腹に1発プレゼント。




二人とも動かなくなったので、ナミちゃんにギルドまで走ってもらった。


と言ってもすぐそこなんだけどさ。




ほどなくさっきのオッサンが来て、2人は御用となりました。


こんなテンプレ展開あるんだな。逆に、よくある事だからテンプレなのかも?




ま、どうでもいいや。


さっさと帰ってポチと遊ぶぜ、ヒャッハー!!










事情聴取って事で、ギルドに連行されました……。


強盗A&Bめ、許さん!!

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