#6

「ありえへんやろっ?! 何でこんなにポンポンと1等が出るん?!」




ウエダさんが興奮しすぎてエセ関西弁になってる。




「ホンマですわ! こちとら商売上がったりでっせ?!」




エンドウさんもか……。


関西出身なのかな?


……異世界の関西ってどこだよっ?!




「まあまあ、二人とも落ち着いて」


「「当てたお前が慌てろ!!」」




はい、理不尽なお怒りを頂きました。


それに合わせるかのように、野次馬達も騒ぎ出した。




「9連続1等!!」


「初心者ガチャを制覇したぞ?!」


「何者だ?! 誰か知ってるか?!」


「知らないけど、アイツはキングだな!」


「ああ、キングだ!」


「初心者ガチャを制覇した、『初心者キング』だ!!」


「「「「初心者キングだ!!!」」」」




何その恥ずかしい称号は?!


やめてください! 恥ずか死する!!


今こそ身代わりの指輪の出番か?!




俺はウエダさんの首根っこを捕まえて、走ってガチャ屋(?)を出て行った。






で、ココは離れた場所の裏路地。




「兄ちゃん、すげぇなぁ!! 本当にキングの名に相応しい!!」


「それは言うな! ウエダさんでも殴るぞ!!」


「殴ってから言うな!


 いや、でもマジですげぇ。今から師匠と呼ばせてもらうぜ!!」


「それもやめろ!!」


「まぁまぁ、いいじゃねぇか。


 で、これからどうするんだ師匠?」


「師匠はやめろ!


 どうするって言われてもなぁ。ココの事を何も知らないから、どうすればいいのかも判らないよ」


「そりゃそうか。


 そうだな……メシにするか? 風呂に行くか? それとも……ギャンブル?」


「変な言い方すんな!


 それにギャンブルって言っても、もうカードに1万しか残ってないぞ?」


「スロットマシーンはどうだ? あれなら1回500円だぞ」


「スロットねぇ……って、結局ギャンブルかよっ!」


「だってカジノの町だぜ? ギャンブルに決まってるだろ?」


「……はぁ。判ったよ。じゃあスロットな。その後に宿を紹介してくれ」


「いや、俺は泊まった事無いから宿なんか知らねぇよ?」


「え~~~。どうすんだよ……」


「心配すんな! 俺ん家に泊めてやるよ!」


「本当か?! 助かる!! じゃあメシをおごるよ」


「おう! って事でスロットな!!」


「……その後はメシだからな?」


「判ってるって、師匠!」


「それはやめろって!!」




裏路地を出て、ウエダさんのオススメのスロットの店に行く。


スロットはパチンコ屋にあるようなスロットじゃなかった。


ラスベガスにあるような、コインを入れてレバーをガチャンのタイプ。


コインを入れる部分は無く、カードを刺すようになってる。


こういうのって、入れたお金が上限に達するといくらか払い出すんじゃなかったっけ?


完全に確率? それとも裏で操作してる?


ま、関係無いか。20回やれば1万無くなるから、さっさとメシだメシ。




「師匠の技はスロットでも通用するのかね?」


「師匠言うな。大体、技って何だよ?」


「祈る? みたいな?」


「技じゃ無いじゃん! 神頼みじゃん! 俺、祈って無かったじゃん!」


「じゃあ、ツッコミ?」


「それも技じゃない! 芸だよ! って、ツッコませるなよ!」


「見事なツッコミです、師匠」


「お笑いの師匠みたいに言うなーーーーー!!」




ツッコミの勢いで思わずレバーを引いてしまった。




グルグルグルグル


ダン、ダン、ダン。


パッパラパーパララパララパー♪




「777」でドラムが止まってた。


めちゃくちゃ派手な証明とファンファーレで、既に注目の的になってる……。




「さすが師匠!! 『ツッコミレバー』の技の凄さはハンパないわ!!」


「勝手に命名するな!!」




俺のカードには100万円が新たに入っていた。




それ以降この店では、スロットを回す前にツッコミするのが流行ったらしい……。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る