学園ハーレムもの メインヒロイン視点

メインヒロインの本音？

　トモくんとは、幼稚園の頃からずっと一緒だった。

　小学校、中学校まではずっとそのまま一緒にいられたけれども、高校受験の時には悩んだ。トモくんは自分で言うほど頭は悪くないから、同じ学校にいくために一生懸命勉強した。

　その甲斐があって、同じ高校に進学することが出来た。一年生の時、クラスは別々になっちゃったけれども、それでも凄く嬉しかった。

　でも、その一方で二年生になった今、少し不安になることもあった。トモくんは少し、いやかなり変わったところがあるけれども、自分で言うほど見かけは悪くもないし、運動だってそこそこ出来る方だと思う。頭の回転も速いほうだ。だから、学校の女の子達の話題に挙がることも時々ある。それが、私としては少し許せない。

　中学の頃に比べると、トモくんと話す機会が少なくなったように思う。それなのに、トモくんは他の女の子達と話をする機会が増えているように思う。

　例えば、一つ年上の美術部の先輩とか、同じ学年で一年生の時に同じクラスだった陸上部の女の子とか、今年新しく入学してきた一年生の女の子とか。みんなそれぞれ違うタイプだけれども、きっとトモくんのことを少なからず想っているはず。

　私は先輩みたいにスタイル良くないし、陸上やってるあの子みたいなさっぱりはっきり姉御肌ってわけでもない。一年生の女の子なんて、女の私から見てもめちゃくちゃ可愛らしいし。正直、ライバルと言えるような女の子達に勝てる要素がほとんどないのは悲しい。

　でも、だいたいトモくんだっていけないと思う。だって、トモくんは「来る者は拒まず、去る者は追わず」なタイプで、誰にでも気さくで優しいところがある。だから、何かのきっかけでトモくんと接点を持った女の子達が、ちょくちょくトモくんのことを意識するようになっている――と、私は思う。

　トモくんの側にずっと一緒にいたのは私なんだから。トモくんのことを、その――ずっと好きだったのは、私なんだから。

　だから、そう――トモくんには、他の女の子達とは極力話さないで欲しい。そう思うのは、わがままなんだろうか。

　なーんて、そんなしおらしいことを言うとでも思った？

　残念でしたー。バーカバーカ、回線切ってヘソかんで死んじゃえー。だいたいそんな「男視点で都合の良い女」が、そこらじゅうにホイホイといてたまるかってーの。オタクが書いたラノベの主人公じゃあるまいし、勝手に妄想してろー。

　――はあ、疲れた。全部他の女にうつつを抜かしている、トモのやつが悪いんだ。ふざけんじゃねーってーの。

　ああもう、イライラするから今日は早めに寝よう。あと、しば漬け食べたい。