第7話 一癖二癖と難あり
ソファーに座ると、注目を浴びて少しばかり気恥ずかしい。
美男美女に囲まれていると、余計に。
そう思っていると、先ほど優しく声をかけてくれた月の光のような髪の女性が私に話しかけてくれる。
「初めまして、ね。私はルナ。髪の色から名づけられたの。覚えやすいでしょう?」
「あ、えっと……んふふ、……はい」
んふふって、気持ち悪かっただろうなぁ。うぅ。私の馬鹿……。
「うわぁ。いじめたいぃ……」
な、なんだかキラキラした目でとんでもないことを言った少年がいる。しょ、少年でいいんだよね?
14歳くらいに見える少年は白い髪をしていて、目が見えないくらい伸びた前髪、後ろの方はウルフヘア。
可愛い見た目なのに、その見た目からそんな言葉が出てくるなんて、お姉さん、びっくりだよ。
「
「えっ、真白……さん、19歳なんですか!? 大学生なんだ……」
少年なんて思っていたら、とんでもない。立派な男性だった。ひぇ……。真白さん、いつ成長するんだろう。それともずっとこんな感じなのかな。
「……僕はね、14歳くらいから変わらないんだよ。あと麗孝も普通の大学とか言ってるけど、文武両道のとんでもないハイレベルな大学に通ってるからね。ちなみに僕は、君達の高校の出身で、そのままエスカレーター式で大学に上がったから先輩だよ。敬っておいた方がいいよー。新入りの……」
そこまで言って、真白さんは私をじっと見つめてきた。
あ、名前……。
「ご、ごめんなさい! 手鞠って言います!
そう言うと、皆驚いたような顔をしていた。
「名字があるのか」
ぽつりと、麗孝さんが呟いた。
……あ、そっか。こっちでは名字、珍しいんだった。それに私、家がなくなったから名字を言う必要もなくて……。
うわぁ、やっちゃった。
面倒なパターンかな。何か言われるかな。
名字があるなんて、何かあった家とか貴族の家とかだもん。
「まあまあ。なんだか羨ましい。私、名字がないからよく名前被りしちゃって……。でも、名字があろうとなかろうと、特に関係ないわ。これからよろしくお願いしますね。手鞠ちゃん」
ルナさんがそう言って、私の頭を撫でてくれた。
なんだか、こう言っていいのかわからないけれど、聖母みたいな人だなぁ。
「私も、気にしないー。よろしくね、手鞠! 同い年だし、一緒にいろいろ楽しもうよ! 高校生をさ!」
「う、うん! よろしく! えっと」
「さっきもさん付けで私のこと呼んでくれてたけど、刹那でいいよ。私も呼び捨てで呼ぶからさ」
「ありがとう。刹那」
「僕も真白でいいよ。ねえ、僕にいじめられる気があったら」
「真白先輩、趣味がお悪いですよー。お控えくださいね。あ、手鞠さんのお部屋は二階に上がって右の奥の部屋ですからね。もう荷物も届いていますよ。あとで、お夕飯の時間になったら呼びますから、それまでごゆっくりなさっていてくださいな」
「……ありがとうございます」
私はルナさんのお言葉に甘えて、自分の部屋に入った。
「……荷物、届いてるだけじゃなくて、整理までされてる。魔法か何かだろうな。多分、整理の」
なんだか、まだ夕方にもなってないのに、どっと疲れた。
少しベッドで休もう……。
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