第二章 因縁と新剣
12.着せ替え
今僕はルルと一緒に外を歩いているのだがここで一つ思ったことがある。
それはルルの服が随分と質素で汚れているということだ。
ギルドに行ったらルルの服でも買ってあげるか。
このまま放っておいたら荷物整理から帰ってきたディアに何を言われるかわからないしな。
***
またギルドが久しぶりに感じる。
二回目の感覚だ。
僕はいつも通りルリアさんのいる受付に向かった。
「おはようございます。ルリアさん」
「あっ! あっ!! もう体は大丈夫になったんですか!?」
「大丈夫ですけど……でもどうしてですか?」
「この間、ディアさんが血だらけのエトさんを抱えてギルドに来て色々大変なことになってたんですよ!!」
ディアはそんなに僕のことを心配してくれていたのか。
変人だけどやっぱいいやつだ。
「ディアさんがエトさんを地面に落とした時は全員で思わず叫んじゃいましたよ!」
やっぱり前言撤回。
ディアは変人だ。
「それでそのあとナフィーさんがエトさんのことを治癒してくださってひとまずはなんとかなったんですけどね」
「ナフィーさんですか?」
「はい! ナフィーさんは公共ダンジョンの近くにある鍛冶屋の娘さんなんです」
「そうなんですね。剣が折れてしまっていたので今回はそのナフィーさんの鍛冶屋に行ってみようかと思います」
「それがいいと思います! それで……先程から隠れている彼女はルルさんですよね! お久しぶりです!」
ルルは恥ずかしがり屋なのかはわからないが僕の後ろにずっと隠れて様子を見ていた。
なので僕がちょっと横に移動して隠れられないようにするとルルはあっ! という驚いたような表情をしてルリアさんの言葉に反応していた。
「お、お久しぶりです、ルリアさん!」
「はい! お久しぶりです!」
「なんか仲良くなってる……」
「それは当たり前ですよ! 私とルルさんもエトさんを救った一員なんですから」
「なんか色々すいません……」
僕が意識を失っている間、相当な人数に迷惑をかけてしまっていたらしい。
なんだろうこの罪悪感というか、恥ずかしさは。
「それにしても酷い話しですよね。これほど可愛い女の子を囮として使うなんて。本当に悪質パーティーは酷いものです」
どうやらルリアさんはルルの事情について知っているようだった。
恐らくディアが僕が意識を失っている二日間の間に話したのだろう。
「悪質パーティーってどうにか出来ないんですかね」
「何度かいくつかのパーティーに依頼などはしてみたことはあるのですがどのパーティーもやらないというよりはやりたくないというのが現状のようなんです」
「ダンジョン都市の偉い人とかって動いたりしないんですか? 悪質パーティーが増えれば迷惑なことが増えると思うんですけど」
「ダンジョン都市――リトルリアには長とかそういう人物はいないんですよ。主に私達ギルドがリトルリアを管理していてその下にいくつかのトップパーティーがありその下に他のパーティーや単独冒険者などがいるんです。ギルドは管理するだけであって戦うってことが出来ないんです」
リトルリアは都市というから誰か偉い人物が統治でもしているのかと思っていたがまさかそんなことはなくそれっぽい役割をギルドがしているということか。
でもギルドがトップパーティーに依頼をすれば問題はすぐ解決しそうな気もするけど。
「トップパーティーは何もしないんですか?」
「とてもお恥ずかしいことなんですが私達ギルドがトップパーティーに何かを言うということは中々出来ないんです……。ギルドは多くの冒険者様がいることで成り立っているのですが中でもトップパーティーの影響力は凄まじく、ギルドが出来るのは顔色をうかがうことくらいなんです」
確かに僕がこの都市に初めてきたときもよくトップパーティーという言葉を耳にする機会はよくあった。
だからトップパーティーの知名度は凄く影響力が高いというのは分かるのだがギルドはそれほどまで怯える必要はあるのだろうか。
普通に依頼をすれば受けてくれそうなものだけど。
「って、また色々と長話をしてしまいました……。それで今日はどうされたんですか? もしや倒したボスの魔石とかですか?」
「その通りです!!」
僕はこれから入ってくる硬貨にワクワクしながらリュックから取り出した魔石を渡した。
***
魔石を硬貨に変えた僕はギルドを出て再び街をブラブラをしている。
楽しめるような計画ではないがこの手に入れた硬貨でまずはルルの服を勝手、その後はルリアさんが言っていた僕を治癒してくれたというナフィーさんのいる鍛冶屋に向かうつもりでいる。
にしてもルルはどんな服が似合うのだろうか。
自分自身そこまで服に興味はないからわからない。さらに女性となればもっとわからない。
やっぱりディアがいる時に行けば良かっただろうか。
いやでも一日この服で居させたらなんだか酷く怒られそうな気もしなくもない。
それに店の人にでも聞けばきっとどうにかなるだろう。
「ルル、ちょっとここの店に入らないか?」
「お服屋さんですか? 良いですけどここって女性ものしか売ってないと思いますよ……?」
「だから入るんだよ」
「そうですか……?」
どうしてこの店に入るのかまだ気付かないルルを僕は連れて店の中に入った。
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