ゴーストダイアリーズ
@cranberrys
第1話
「どうしよう、追いかけられている」
時刻は午前1時をとうに回っている。
数日前に引っ越してきたばかりのありさは、タクシーを降りる場所を間違えてしまい、そこから徒歩で家路を急いでいた。
・・・・ウトウトしていて、幾つ川を越えたかも朧気だったのよ。
目指すは目の前に聳え立って並ぶタワーマンションの最奥の棟。
近くまで行けば巡回のセキュリティの視界に入るはずと考え、数十秒前から背後に感じる視線を気にしつつも、目標目指して急ぎ足の速度をさらに上げた。
最初のマンションのブロックに差しかかったときだった、急に向かいからバイクが視界に入り、目の前を急左折した際にありさの肩さげトートバッグを引っ張った。つられて右折することになり、運河の土手前まで引きずられてしまった。
バイクが止まる。
ありさはバッグを肩から外し逆方向へ向き直った途端、後ろかつけていた視線の主、なぜか徒歩で来たはずなのに白いヘルメットそしているその男に口を塞がれた。
「んん・・・、んーっ」
口を塞がれた勢いでそのまま押し倒されたありさは、地面に転がっている彼女のトートバックと同じ目線である状況に一瞬で恐怖した。
「ったく、このあたりに住んでいるヤツラはみーんな電子マネーだなんだで、現金ってもってねぇのなぁ」
それでもありさの財布に入っていた数枚の紙幣を無造作にズボンのポケットに突っ込むバイクに乗っていた黒いヘルメットの男がありさを見下ろし呟いた。
「ま、その分別のモノで補填してもらおっかー」
白と黒のヘルメットの両方が固定された視界に入ってきたその時だった。
暗がりでも青白いと分かる、若い男性の顔が右端に見えた。
「助けてください!」
ゴーストダイアリーズ @cranberrys
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