ダンジョン犯罪の犯人と決めつけられて配信されたけど、真犯人捕まえたら相手が炎上して俺の配信がバズった件
水間ノボル@『序盤でボコられるクズ悪役貴
第1話 ダンジョンで冤罪をかけられる
「逮捕だっ!」
「おわ……っ!」
ダンジョン探索中に、突然、俺は一人の男に取り押さえられた。
もう一人の男が、配信用カメラを待っていた。
「なんだよ……っ! いきなり……?」
「見たんだよ。お前が盗んだのをな」
最近、ダンジョンで盗難が多発している。
他のパーティーの獲得したアイテムを盗むヤツが多かった。
ダンジョンができて二十年……
探索者が増えすぎたせいで、ダンジョン犯罪が横行するようになったのだ。
それでダンジョン犯罪者を逮捕する配信が、流行り始めた——
「俺は何もしてないって……っ!」
俺は盗んでいない。
普段は社畜をやっているが、週末、副業でダンジョン探索をしている。
今日は低層で雑魚を狩りながら、細々と配信をしていた。
チャンネル登録者数は一桁しかいない。
(これは……完全に冤罪だ!)
「俺はやってないって! 何かの間違いだ!」
「証拠ならあるぞ……っ!」
俺を取り押さえている男——鎧を着て剣を腰につけている。クラスは魔剣士(キャバリエ)だ。
そいつが俺に、俺が盗んだという証拠があると言う。
「おい! こいつに証拠を突きつけろ!」
「これだ……っ!」
配信用カメラを持った男——格好からしてクラスは治療師(ヒーラー)が、俺の目の前でカメラを再生する。
頭を押さえつけられて、無理やり見せられる俺。
カメラに映っていたのは——俺と似た男だった。
同じ鋼の鎧をつけているが……
「いや、たしかに同じ鎧を着けているよ? でも……これは俺じゃない!」
「はあ? どう見てもお前だろ! ふざけんじゃねえ!」
ガンっと、俺は頭を殴られる。
「人違いだって……っ!」
「俺たちが間違うわけねえんだよ。俺たちは何度も、犯罪者を逮捕してるんだからな」
そう言えばとこかで見たことあるような……
DTube——ダンジョン配信者の動画投稿サイトだ。
ランキング上位になっていた動画でたしか……?
そうだ。逮捕系ダンジョン配信者の「氷獄チャンネル」
チャンネル登録者数は、100万人を超えている。
魔剣士の男は「クロキ」と名乗り、治療師の男は「ダミネ」と名乗っていた。
二人はダンジョン犯罪者を警察に代わって、取り締まる配信をしている。
逮捕は普通は警察しかできないが、「私人逮捕」と言って、現行犯なら警察でない人でも逮捕できた。
氷獄チャンネルは、私人逮捕の様子を配信して再生数を稼いでいた。
「警察呼ぶぞ」
「ま、待って! 俺はやってないって!」
ここはむしろ、警察の人を呼んで無実を訴ったほうがいいかも。
いや、警察が来ても、俺の主張を信じるかどうかわからないな……
「俺が真犯人を見つける」
「はあ?」
「真犯人を俺が見つけられたら、解放してくれ」
「ダメだ。どうせ逃げる気だろ?」
魔剣士のクロキが笑う。
「なら俺の探索者カードを預けるよ。これで俺は逃げられない」
探索者カードは、探索者の身分証だ。
今までのダンジョン探索の記録が入っていて、ダンジョン局に提出すれば報酬がもらえる。
だから探索者の命とも言える大切なものだ。
コソコソ「…………」
二人は俺に聞こえないように話し合う。
「……いいぞ。真犯人を探せ。だが、その様子も全部配信する。もし真犯人がいなかったら、カメラの前で土下座しろ」
クロキは俺の身体からどいた。
俺は立ち上がって、二人を見据える。
「……わかった。俺は真犯人を必ず見つける」
「俺たちが間違うわけないけどな。犯人は100%てめえだよ。冤罪なんてあり得ない」
カメラを持ったダミネは、薄笑いを浮かべた。
「だから冤罪だって……」
「さっさと真犯人見つけろよ! いるわけねえけどな!
カメラの前で土下座しろよ、この犯罪者がぁ!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます