第21話 エステア軍艦隊撃破ミッション-(終)
エステア軍艦隊に肉薄した俺たちは軍艦の対空装備を破壊していく。
重装備のアーマードスーツが艦橋やエンジンに壊滅的なダメージを与える。
いくつもの軍艦が火を吹いて傾く。
「その調子だお前ら!」
リクが叫ぶ。
「ハナサギ、主砲を狙うんだ」
ミネーがアドバイスを送る。
「分かった!」
そのアドバイスを受けて俺は対空砲を避けながら戦艦の砲身を斬り落とした。
ミネーがダメ押しで主砲の本体にライフルを撃ち込みまくる。
主砲とその周りが爆発する。
「サンキュー、ミネー!」
「おう!次行くぞ!」
二機がその場を離れた瞬間、その戦艦が爆発した。
「ん?戦艦ごと吹っ飛んだ、、、、主砲とメインリアクターが繋がってるのか?」
ミネーが訝しむ。
「主砲をやれば連鎖反応で一隻丸ごと沈められるのか」
ファナリスが主砲に攻撃を仕掛ける。
主砲が同じように爆発する。
程なくして外殻が剥がれ出し、炎が吹き出す。
「ははっ!でかしたぞハナサギ!」
ファナリスが嬉しそうに言って、皆に報告する。
「戦艦は主砲を狙うんだ!そうすれば連鎖反応で一気に沈められる!」
「本当だろうな?」
リクが尋ねる。
「お前だから出来る芸当は無理だから、、、、」
「ハナサギとミネーの戦術だ。あのタイプの戦艦にしか効かないだろうが、格段に戦いやすくはなる」
「ふっ、全員聞いたな?グリプス級は主砲を徹底的に狙え!」
「了解!」
リクの指示にパイロット達が返事する。
「グリプス級って?」
「さっき俺らが沈めた戦艦だよ。ほら、次行くぞ」
エリアルヘロンとエリアルシュトレインがグリプス級の主砲に迫る。
「ボク達も負けてられないね」
「よーし、いっくぞー!」
エリアルワンダーランドとエリアルゴーストが鮮やかな連携で主砲を破壊する。
こうしてエステア軍艦隊はどんどん数を減らしていった。
地球防衛機構の勝利は確実と思われた、、、、のだが。
ピースコンパスの艦橋にクルーの焦り声が響く。
「レ、レーダーに敵艦の反応あり!数一隻!」
「え?」
ユカが困惑する。
『このイベントは増援も倒してやっとクリアになるのかしら』
「全機に告ぐ、敵艦が一隻接近中、警戒を怠らないで!」
ユカの忠告を聞いたリクが鼻で笑う。
「たかが一隻の増援、俺とファナリスで十分だ」
敵の増援がワープしてきた。
リクは自分が間違っていたことを理解した。
ファナリスも絶句している。
「な、なにあれ、、、、」
ユカが呆然とする。
「見たことある?あんな大っきい、、、、」
「あるわけないでしょ、、、、」
ヴァリュートとアリスも衝撃に打ちひしがれている。
「アプデにあんなのの記載は無かった。運営が密かに追加したか、、、、もとより存在していたか」
ミネーが苦々しく言う。
「今の俺たちじゃ厳しいよな」
俺は撤退の願望を込めながらユカに尋ねた。
「当たり前でしょ。あそこからどんだけのアーマードスーツが出てくると思ってんのよ」
「リク、ここは撤退すべきだ」
ファナリスがリクに進言した。
「丁度総裁から撤退命令が出たよ。全機母艦に戻れ!全速力で!」
突き進んでくるエイのような形をした戦艦がターボレーザーを乱射する。
いくつかのアーマードスーツがターボレーザーに消し飛ばされる。
「火力が段違いだ、絶対当たるなよ!」
ファナリスが注意しながら『ノアの方舟』の格納庫に突っ込んでいく。
リクも続く。
ハナサギ達も全速力で格納庫に飛び込む。
ハッチが閉まる。
ハナサギ達が格納庫に入ったことを確認したユカが命じる。
「全速反転、ワープで地球へ!」
『ノアの方舟』が全速力で反転し始める。
僚艦が数多のターボレーザーに撃ち抜かれて爆発した。
「ワープ開始!」
『ノアの方舟』と生き残った地球防衛機構の艦隊が地球にワープする。
⭐️⭐️⭐️
フロンタル基地は騒然としていた。
フレイが対策を講じる。
『あんなもの、私たちのデータベースに無かった。完全に秘匿されていた最新兵器、、、、情報が足りなさすぎる』
その時、通信士官が驚きの声が上がる。
「敵からの無線です!」
「、、、、繋ぎなさい」
「よろしいのですか?」
「いいから早く!」
「は、はい!」
通信士官がオープンチャンネルに切り替える。
「フフフ、どうも。私はエステア連邦の首相、セオドリック・フェリーダです。知ってると思いますがね」
「地球防衛機構総裁のフレイ・アンダーソンです。降伏勧告のつもりなら諦めた方が良いでしょう。我々は決して貴方方には屈しません。この地球を明け渡すつもりもありません」
「そんなこと分かりきってますよ。ただ最終確認はおこなっておかないと」
その声にはほんの少し昂ぶりが混じっていた。
「我々の新型戦艦デモンズはもうご覧になりましたでしょう?我々の最高傑作であり、この宇宙で唯一天体を破壊できる火力を持った戦艦です」
『こいつの言わんとしていることは分かるが、、、、』
「それで?」
フレイは気丈に言い返した。
「最後の交渉です。地球防衛機構が降伏してくださるのならばデモンズの持つ死の刃をあなた方に向けることは決してありません。もし、無駄な抵抗を続けるのであれば、、、、」
「地球防衛機構を死の刃で攻撃する、と」
フレイが拳を握りしめる。
やはりそうだ。
「猶予はニ週間です。そちらの上層部は怠慢な方が多いと聞きます。これぐらい長くないとなにもできないまま消し飛んでしまうでしょ?」
「貴様、舐めているのか?」
フレイが思わず声を荒らげる。
「おや、そんなに怒らなくても。良いお返事を期待しておりますので。それでは」
通信が切れる。
「、、、、会議など開くまでもないわ」
フレイの目が完全にすわっている。
「地球防衛機構の持てる全ての戦力を持ってデモンズを迎撃、破壊せしめる!全基地に通達せよ!」
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