第6話 救出作戦(2)
「どこ行ったのかな?さっきのエリアル」
エリアルフェンリルに乗ったエレンがヴァリュートを探し回る。
「エレン、例のエリアルの捜索は中断だ」
エリアルS(シンギュラリティ)プライマルから通信が入る。
「どうかしたんですか?」
「アーマードスーツが来る」
「奴の仲間ですかね」
「恐らくな。奴らの出方を見るぞ」
「、、、、了解です」
エリアルフェンリルがエリアルSプライマルの隣に並ぶ。
「カガリさん、攻撃してきたらどうします?」
「無論、撃墜せしめる」
モニターに敵機が表示される。
「来ましたね。えーと、八機か」
「警戒すべきはエリアルシュトレインとエリアルワンダーランド、エリアルガスターぐらいか。例のエリアルは『ピースコンパス』の連中の仲間だったみたいだな」
「イベント以外でプレイヤー戦闘を行わない癖して無駄に高い戦闘能力を誇る奴らですよね、、、、あれ?」
エレンが少し驚いた。
モニターを拡大し、こちらに近付いてくる純白の機体を確認する。
「先頭の白いエリアルは誰だ?」
カガリが尋ねる。
「さっき、ほんのさっきファーストターミナルであった初心者の子です」
「初心者か」
「はい、まさかもう戦闘に投入してくるなんて」
「鬼だな」
カガリが笑いながら言う。
一方のハナサギ達は真っ直ぐにエリアルSプライマルのもとに飛んでいた。
「ブレイクコロニーに突入次第、俺たち四人は奴のところへ一直線に飛ぶ。フルスロットルでな。その間に他の四人はヴァリュートを見つけてくれ」
「オーケー」
フルファイトのパイロットが答える。
「カウントダウン始めるよ」
アリスがカウントダウンを始める。
「ブレイクコロニー到達まで五、四、三、二、一!」
四機のエリアルがフルスロットルでエリアルSプライマルの方へ飛んでいく。
早く見つけてくれよ、みんな。ユカさんの見立てによると四人でかかって二分しか持たないって言ってたし、あんまり長居したくない。
エリアルヘロンがエナジーブレードを装備する。
「ヨッシーさん!」
「おう!」
エリアルガスターがエリアルSプライマルとエリアルフェンリルに向けてライフルを乱射する。
二機がシールドを使って防ぐ。
「ねえ、エリアルフェンリルもいるんだけど?」
アリスがレーザーアックスを振り上げながら言う。
「時間がない、ハナサギ、あのピンク色のエリアルを相手してくれ!」
「わ、分かった!」
ミネーに言われたとうりピンク色のエリアルに突撃する。
「いいね、血気盛んな男の子は嫌いじゃないよ」
エリアルフェンリルが迎え撃つ。
他の三機はエリアルSプライマルを掠めるように飛行する。
「君たちが相手か?一度手合わせしたいと思っていたのだよ!」
エリアルSプライマルが飛び上がって三機を追う。
「へえー、初心者にしては、、、、って感じね」
エレンが感心したように呟く。
「大方復帰勢とかかな?」
エレンがニヤッと笑う。
エリアルヘロンが瓦礫を踏んでよろける。
「あっぶ!」
「、、、、何やってんだか」
エレンが呆れる。
エリアルヘロンがまたエナジーブレードを振り上げる。
「大振りの一撃、コックピットをぶち抜いてくれと言わんばかりの隙。私の勝ちね」
エリアルフェンリルがライフルを構える。
「またいつかね、復帰勢のハナサギ君」
引き金を引こうとした瞬間、エリアルヘロンが横に回避し、銃身を叩き斬った。
そのまま斜めに振り上げる。
「やばい!」
エレンが思わず叫び、緊急回避する。
「ちぇっ、外したか」
「、、、、危なかった」
エレンが冷や汗を流す。
「ハハハ、苦戦してるのか?エレン」
カガリが笑いながら尋ねてくる。
「そんな事ありませんよ。すぐ勝てます」
エリアルフェンリルがエナジーブレードを装備してエリアルヘロンに斬りかかる。
「うっ、赤蛇?」
赤蛇とおんなじ、いやそれ以上に強い!いや覚悟はしてたけど。まだヴァリュートって人は見つからないのか?
「ハナサギ君、ヴァリュートを見つけたわ。これより帰投させるから、あなたも早く!」
ちょうどユカから通信が入る。
「あなたもって、ミネー達は?」
「とっくにやられてるわ!」
「嘘だろ!分かった、すぐ帰投する!」
エリアルフェンリルがグイグイ押し込んでくる。
「逃がさないわよ、ハナサギ君」
視界の端にエリアルSプライマルが戻ってくるのが見える。
「どけーっ!死にたくないんだーっ!」
俺は腹の底から叫んで操縦桿を動かす。
エリアルヘロンがエリアルフェンリルを突き飛ばし、右腕を切り落として蹴っ飛ばす。
「いやっ!」
エレンが悲鳴を上げる。
「来るなァァァ!」
絶叫して近付いてくるエリアルSプライマルにエナジーブレードを投げつける。
「何!?」
ギリギリのところでエナジーブレードを避ける。
少し機体を擦ったようだ。
「、、、、なんなんだアイツは」
カガリが心底不思議そうに呟く。
エリアルヘロンは物凄いスピードでその場を後にする。
「ンギィィィ!」
エレンが悔しそうに呻き声を上げる。
「何よ今の!アイツ絶対初心者じゃない!」
「復帰勢だと?」
「そうじゃなきゃあんな反応速度出せないでしょ!」
「、、、、」
カガリが考え込む。
⭐️⭐️⭐️
『ノアの方舟』の格納庫に転がり込むように着地したハナサギはコックピットから飛び出した。
「はあ、はあ」
足の震えが止まらない、眩暈と吐き気も。ゲームの癖に感じてんじゃねえよ、、、、。
「ハナサギ、大丈夫か?」
ミネーが近付いてくる。
「だっ!お化け!」
「いや、リスポーンしただけだよ。ったくそれより、お前強すぎだろ」
「え?」
「エリアルフェンリル相手に四分持つとか、初心者じゃねえから」
ミネーが半ば呆れたように言う。
「ミネー、今日はもうログアウトして良いか?」
「じゃあ俺もログアウトするわ。この後飯行こうぜ。ヴァリュートとアリスは先にログアウトしてる。みんな精神的に参っちまったみたいだな」
目の前にログアウトの項目が現れる。
何の迷いもなくログアウトする。
今は、、、、落ち着く時間が欲しい。
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